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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2017)
農林水産大臣賞

株式会社 日本一

代表取締役社長:染谷 幸雄
所在地:千葉県 野田市
業種:鶏惣菜製造小売業
> 公式ホームページ

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【功績申請の概要】

  • 安価で鮮度の高い商品をお客様にお届けすることを可能とした理由は、厳選された素材を同一グループ工場で加工製造し、熟練の販売店スタッフにより店頭で調理・販売している点にある。具体的には、グループ(株式会社日本一・日本一フード株式会社・日本一フード秋田株式会社)全体の連携と、構築されたSCMの効率的運用を実施し、製造から販売までを一貫して行っているためである。
  • 価格・鮮度や品質へのこだわりに加え、顧客ニーズを捉えた新たな商品開発などにもチャレンジを続けている。
  • 平成25年には消費者の「健康志向」と「経済性志向」に対するハーブ鶏(鳳潤ハーブ鶏)を使用した、安全・高品質・低価格な鶏肉加工食品の開発、製造及び販売を目的として、農林漁業者であるニイブロ株式会社と連携することにより、経済産業省より農商工連携事業としての認定を受けた。
  • 秋田県横手市に、日本一フード秋田株式会社をグループ3番目の直営工場として開設した。この工場では、独自製造技術(衛生・品質・温度管理におけるノウハウ及び技術)を更に進化させ、現代消費者の志向に対応した新商品を開発・製造することを目指している。この工場では概ね120名の社員を雇用しており、地域経済の活力の一端を担うことにも寄与している。

【功績申請の具体的内容】

【農商工連携の推進】

  • 国産農産物の利用、契約栽培の状況
    当社の取り扱い商品の中心は鶏肉を原料とした商品であることから、グループ会社の日本一フード株式会社・日本一フード秋田株式会社の製造工場は、ブロイラーの産地である岩手県・青森県など原料入手が容易な地域に立地している。また、農商工連携計画で開発された鳳潤ハーブ鶏は、連携する農林事業者であるニイブロ株式会社が管理する専用鶏舎で生育されるもので、その産地は秋田県・山形県にも及ぶ。
    当該製造工場で使用された鶏肉は全て国産であり、平成26年度が1,843t、平成27年度が2,088t、平成28年度が2,422tと、年々増加傾向で推移している。
    また、昨今は日本一フード株式会社で製造するネギ間串に使用する一部のネギの生産を、本社所在地である千葉県野田市内の農家に委託し、これを泥つきの状態で出荷している。委託先の農家の中には、20代の新規就農者が2名含まれており、数名の女性も就農している。現在の耕作面積は約8ヘクタールで、全て耕作放棄された畑を借り受けていることから、当該畑の所有者からも大変感謝され、地域の耕作放棄地解消にも大きく貢献している。
    この泥つきの状態での出荷・搬入を実施することで、通常の処理加工済みのネギと比較した場合、大幅な鮮度アップにつなげることができた。今後は更に当該ネギの委託を拡大し、千葉県内の農業の発展にも寄与したいと考えている。なお、ネギの使用量についても鶏肉の推移同様増加傾向にあり、通常のネギと泥つきネギを合わせて、平成26年度が215t、平成27年度が221t、平成28年度が279tとなっている。
  • 生産者ヘの技術指導等、農業への支援
    焼鳥惣菜の鶏肉については、農商工連携計画における鳳潤ハーブ鶏の開発に際して、農林水産事業者であるニイブロ株式会社に対しての消費者の嗜好や需要動向に関する情報提供を行い、生産者への技術指導を実施した。その結果、ハーブと抗酸化作用の高いビタミンEを配合する飼料を与えることで、肉質の向上と他の銘柄鶏を凌ぐビタミンEの含有量を実現した良質な商品開発に成功した。また、通常のブロイラーにおいても常に消費者の立場に立ち、仕入先の企業を通して鮮度・品質に対する要望や提案を絶え間なくおこなっている。泥つきネギについては、委託先の農家に焼鳥串のサイズに見合った規格のネギ生産を指導するなどの支援を実施中である。
  • 国産農産物を利用した新商品開発
    日本一フード秋田株式会社は、農商工連携の申請代表者として平成25年4月に登記上設立のみされた会社であり、事業活動をすぐに始めたわけではない。設立趣旨は、焼鳥の串刺し、鶏惣菜製造工場として、商品開発、製造並びに販売、さらには商品流通全般を通しての役務提供を、新規に業として開始することであった。
    当該会社の当面の主要取引先は、共同申請者の一つであり、申請代表者日本一フード秋田株式会社が所属する日本一ホールディングスグループの一つ、当社(株)日本一となった。それとともに、これまでの既存品の製造はもとより、新商品を開発、製造し、今後の生産量増大に伴い(株)日本一以外への販路を拡大する方策を模索していた。
    一方、(株)日本一は、焼鳥、惣菜等の調理テイクアウト販売で、北海道、東日本、中部一円に店舗展開している一般消費者を対象とする食品販売企業である。これまでも、販売促進の一環として自社独自の商品開発を手がけるべく、埼玉県春日部市にテストキッチンを設置し、新惣菜の開発、製造を実施してきた。ただ、そのキッチンスペースは9坪と手狭であり、製造能力の限界により、種類も制限されていた。これを解消するため、できれば原材料段階まで踏み込んだ、本格的な新商品開発の実現方法を検討してきた。
    また、ニイブロ株式会社は、主として新潟県において、農畜産物(ブロイラー)の育成・処理・加工及び販売を行う日本ハムグループに所属する養鶏事業者(農林事業者)であり、養鶏の製造販売技術を有し、独自のオリジナル飼料の開発を手がけている事業者である。当時は、独自開発したハーブ添加飼料を与えることで「爽潤ハーブ鶏」の開発に成功し、この「爽潤ハーブ鶏」の販路拡大策を検討していた。
    上記のような経営課題を有する3者が、単なる取引上の関係を超えて、それぞれの課題を共有し、これらを解決するために、連携し、開発した新商品が「鳳潤ハーブ鶏」である。
    「凰潤ハーブ鶏」は、ビタミンE配合飼料で生育することにより、通常はばさばさ感が目立つムネ肉をもしっとりとした味わいを付与することを目指して開発された商品である。実際に、肉中のビタミンE含量が高いとその抗酸化作用が機能し、細胞劣化によるドリップ流出が防止されることを確認している。
    この「凰潤ハーブ鶏」開発の成功により、経済性を志向する若年層と、逆に節約志向よりも健康志向へと転換してゆく壮齢期から高齢期の年齢層のニーズにも、幅広く適合する商品となった。
    「凰潤ハーブ鶏」を原料とした商品は、通常販売品の他にムネアスパラ串、ローストレッグ等もある。とりわけ後者のローストレッグは、クリスマス時期における当社(株)日本一の主力商品としての位置付けを確固たるものとするまでになった。
  • 販売促進
    当社(株)日本一は、平成25年当時北海道から岐阜県までの都道府県に、合わせて246店舗(現在は280店舗)の販売店を有しており、平成24年度(平成24年5月~平成25年4月)には約1,600万組(当社調査による)の消費者が当該会社の商品を購入していた。したがって、店頭でのPRは、この1,600万組に対して直接訴求できるものであり、もっとも即効性が高い販促方法である。現在はさらに店舗数が増えたことで当時以上の効果が期待できる状況となっている。
    そして、販売店店頭でのPRを強化すべく、POP(店頭ポスターや値札)の表示を工夫し、さらに店頭での試食を実施することで、新規見込み客を取り込む等、世代の区別無く経済性志向、健康志向の両面からのアプローチを実施した。また、商品陳列スペースに比較的余裕のある店舗においては、他の商品より一段高くなる台を使用した「鳳潤ハーブ鶏」専用コーナーを設け、ブランド認知向上を図った。また、ビタミンE配合飼料使用によって素材本来の美味しさをお楽しみいただける点を強調し、消費者が抱く固定観念(むね肉はぱさぱさしているという観念)を払拭する取り組みも、併せて実施した。
    さらに弊社のホームページとFacebookでも、「凰潤ハーブ鶏」の魅力をアピールした。

【地域農業との連携、地域活動等】

  • 地域社会との連携
    日本一フード秋田株式会社では比内地鶏農家に養鶏を委託し、150日以上の日数を費やし手塩にかけて飼育した当該地鶏を、JAあきた北央様に卸す(直近で平成28年度は2,000羽の納入実績)ことで、秋田県北の農業の発展に、微力ながら貢献している。また、各工場で製造された商品の出荷輸送を、同じ工業団地内の輸送業者様に依頼している。このほか業務外においても地域の商工会議所様が実施される行事等に、積極的に参加している。
  • 地域の雇用先としての貢献
    日本一フード秋田株式会社設立以後、最大で120名の雇用を創出し、秋田県横手市の雇用政策に大きく貢献した。平成22年には、日本一フード株式会社が岩手県二戸市で創業を開始し、これに合わせて200名近い人員を採用した実績もあり、秋田・岩手東北2県の雇用創出に大きく貢献している。また、現在は採用後のミスマッチを回避すべく、各社ともハローワーク様に率先して各工場の情報を提供する一方で、自主的な工場見学等を実施し、各管内での合同企業説明会には毎回参加するなどの対応に取り組んでいる。
    加えて、日本一フード株式会社で雇用する従業員は全て、本社所在地である二戸管内からの採用者となっている。さらに、当社(株)日本一の販売店は北海道、東北、関東、中京地区に280店舗、従業員数約2,900名を擁するにいたり、中京以北の雇用創出に多大なる貢献をしているものと自負している。
  • 地域の農業団体との協力
    当社(株)日本一の商品である各種弁当に使用される米は、本社所在地千葉県野田市で収穫されたそれと、同じく前出のJAあきた北央農協様を通じて入手したあきたこまちのブレンド米を使用(内、千葉県産が年間150t、秋田県産が同じく年間110t)している。前者の野田市産米は、仲介業者を介して購買しているが、後者のあきたこまちについてはJAあきた北央様のご協力を仰ぐ形となっており、間接的に秋田県北地区の農産物供給に対し、一部ではありますが寄与していると考えている。
    また、日本一フード株式会社ではJA新いわて様に御協力賜り、本社工場所在地である二戸管内の農家様より、鮮度の高いネギを納入している。

【原料原産地表示の取組等】

  • 商品の原料原産地表示については、当社(株)日本一では店頭のPOP(値札)に記載することで対応している。
    また、日本一フード株式会社、日本一フード秋田株式会社では、RFIDという最新の生産管理システムを使用して肉・野菜の原産地を管理することで、商品トレーサビリティーの完全構築を実現している。