受賞者一覧
令和7年度/第47回受賞者


【功績申請の概要】
- EUへの牡蠣の輸出を目的に兵庫県及び県内同業他社と連携し、県による海域指定、養殖場指定、各社による加工施設のEUHACCP 認定に向けて、農林水産省委託事業も活用しEU 向け二枚貝生産海域指定にかかるデータ収集等を持続的に行っている。
- 播磨灘海域の牡蠣生産の安定化を目指し、2025 年より自社での牡蠣種苗生産を開始し、生産者への供給を行った。
- 海外販売を意識した「Oyster Junky!」ブランドや白浜産三倍体牡蠣「キューティーカキー♥」ブランドを立ち上げ、播磨灘海域の牡蠣の差別化を図っている。
●功績申請の具体的内容
〇平成9年(1997年)9月に設立した水産加工会社。社名にあるように「播磨灘海域」の水産物をおもに取り扱っている。以前は前浜で水揚げのあった小エビ、いかなご、手長たこなども取り扱っていたが、漁獲量の激減で現在はほぼ牡蠣のみの取扱いとなっている。
親会社は昭和32年(1957年)7月設立、姫路市中央卸売市場の荷受機関、丸魚水産株式会社。丸魚水産株式会社と地元生産者、漁協様とのつながりを縁に、兵庫県坂越、相生、室津、網干と岡山県邑久町の牡蠣を仕入れており、全量国産、播磨灘産のみ扱っている。
このうち兵庫県相生、室津、網干の大部分の生産者からは、契約栽培という形ではないがシーズン中の水揚げ全量を仕入れている。仕入れ先は生産エリアとともに生産者を限定し、こだわり抜いたハイクオリティの牡蠣を、消費者のことを最優先に考えている。
取扱量につきましては、コロナ感染拡大の2021年ごろまでの数年間は牡蠣むき身約150ン、殻付かき約300トンで頭打ちだったが、経済活動再開後、特に冷凍殻付かきの海外輸出が増えた。それに伴い2023年に連続式プロトン凍結機を導入し、2025年6月期で牡蠣むき身約300トン、殻付かき約700トンの取扱いと年々増加しています。
〇生産者ヘの技術指導等、農林水産業への支援
兵庫県の西南部に位置する播磨灘海域は、「播磨五川」と言われる千種川、揖保川、夢前川、市川、加古川の水が流れ込み、栄養、ミネラルが豊富で、牡蠣の餌となる植物性プランクトンが多く発生する。また、食品衛生法の基準を満たした「清浄海域」であるため生食用として出荷することができる。食品加工会社として持っている衛生管理の知識、仕組みを生産者に伝え、一緒に衛生管理のレベルを底上げすることで品質の向上、牡蠣の安全、安心を高めることを目指している。それと同時に弊社も2023 年にはISO22000取得、2025年には養殖水産物の品質や安全性を保障するグローバルスタンダードであるBAP認証取得し、さらにはEUHACCP取得をめざして衛生管理レベル等を上げ、輸出対象国を増やすよう努めている。2025年6月より牡蠣の種苗(稚貝)生産を始めた。ここ30年、兵庫県下の牡蠣生産地は坂越から相生、室津、網干へと、広島、岡山方面から東の方へ順次広がっています。当初は、漁の少ない冬に安定した仕事を得る目的で始めたが、海水温の上昇、瀬戸内海の栄養不足によりエサ、小魚が少なくなっているなどの原因で、今では年間通してほとんどの天然漁の漁獲量が激減している。それに伴い、播磨灘海域の漁業は、牡蠣生産、サバの蓄養など育てる漁業にシフトしています。今、全国的に牡蠣生産地が増えている中、牡蠣の種苗の供給不足が懸念されている。全国的に、ほとんどの種苗は6月ごろから8月ごろに自然産卵のものを採取している。しかし、兵庫県では4月ごろから種苗をイカダに吊るして育て始め、11月ごろから出荷が始まり、そして翌年4月ごろまでには全量水揚げしてしまう(一年かきと呼ばれる所以)、つまり産卵前に牡蠣がなくなるため兵庫県産の種苗は採取できません。このため、兵庫県の生産者は広島や宮城など他の産地から種苗を仕入れるしかありません。弊社は生産者の育てた牡蠣を仕入れて販売しています。生産者に安定して種苗が供給されないと播磨灘海域の牡蠣生産も安定しないことから、弊社は種苗を人工的に作って(受精を促して種苗を生産)生産者に供給する事業を始めました。今後は、自社で作った種苗を生産者に育てていただき、弊社が仕入れて販売する流れを太くしていきたいと考えています。
〇国産農林水産物を利用した新商品開発
海外、国内のニーズ、また販売先様の業種に合わせた商品開発、小ロットの対応も行っています。シーズン中(11月~4月)は生の殻付かき、むき身牡蠣をメインに、一年を通しては冷凍製品を販売している。殻付かきは生、冷凍ともに標準的には10Kgの箱詰めだが、ニーズに応じて個数単位、他の内容量での袋入り販売もしている。数年前から電子レンジ対応の袋入り殻付かき、IH対応の缶に入れた殻付かきの蒸しかき用調理セットなど、家庭でも手軽にお召し上がり可能な商品の販売をしている。むき身冷凍商品については業務用に1Kgブロック凍結、一般向けにバラ凍結、主に海外向けに無水かきのパック凍結品の販売をしている。パッケージデザインは海外向けに英語表記も加え、またインパクトのあるブランディングにもこだわっている。デザイン、ブランディングには若手社員のアイデアが生かされている。
〇販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進
牡蠣製品を海外に向けて販売するにあたり、「Oyster Junky!」ブランドをたちあげ、2022年に商標登録した。現在、おもに東南アジアに輸出しているが、現地の輸入業者、量販店などから「Oyster Junky!」ブランド指定でのお取引依頼をいただくようになった。弊社HPでは「Oyster Junky!」を前面に押し出し、英語版のページも開設しているが、HPを通じての問い合わせも増えている。また国内外の展示会出展を積極的に行い、ブースでも大々的に宣伝しているが、「Oyster Junky!」を海外の店舗で見かけた来場者と新規取引につながることもある。「Oyster Junky!」イコール播磨灘海域の牡蠣、そしておいしい牡蠣として認知されてきていると実感している。
〇地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力
2023 年夏より、姫路市白浜町の海で三倍体牡蠣の養殖を始めました。播磨灘海域は大きな川が多く流れ込み、ミネラルが豊富なので、4月に種苗をイカダに吊るすと11月には出荷できるほど大きく育つ。このことから「一年かき」として認知され、好評をいただいている。そこで白浜町の海でも「よい牡蠣」が育つと考え、地元の漁協の協力のもと、三倍体牡蠣の養殖事業を開始した。成長した三倍体牡蠣を「キューティーカキ―❤」と名付け、2024年1月に商標登録した。「キューティーカキ―❤」は2024 年2月に東京の豊洲で開催された全国牡蠣―1グランプリにおいて生食部門でグランプリを受賞した。漁協の組合員の方と一緒に三倍体牡蠣の養殖をし、「キューティーカキ―❤」を白浜産の三倍体牡蠣のブランドとして定着、発信し、地域を盛り上げていきたい。さらに三倍体牡蠣の種苗生産、そして「キューティーカキ―❤」の白浜生まれ、白浜育ちを目指す。牡蠣の種苗生産を始めるにあたり、姫路市が運営する姫路栽培漁業センターと情報交換・協力していくなど地域の関係機関・団体と連携し、牡蠣だけでなく、他の魚種の種苗生産についてもチャレンジし、三倍体牡蠣に続く白浜ブランド、あるいは姫路ブランドを作りたいと考えている。





