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受賞者一覧

平成28年度/第38回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2016)
農林水産大臣賞

株式会社 河島本家

代表取締役社長:河島 歳明
所在地:和歌山県和歌山市
業種:漬物製造・販売
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • 大根漬物商品は、全て国産大根を原材料として使用している。また、これらの原材料大根のほとんどを、全国各地域の農家との協働による契約栽培により生産している。 ○新商品の開発においては、醤油や味噌、酒粕等といった和食文化を支える様々な食材を活かした商品作りに取り組んでおり、消費者の皆様方には高い評価を得ている。 平成25年5月から現在に至るまで、代表取締役社長河島歳明が和歌山県漬物組合連合会理事長、全日漬物協同組合連合会常務理事等として、県内外の漬物業界の発展に尽力している。

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【功績概要の具体的内容】

(農商工連携の推進)

○国産農産物の利用、契約栽培の状況

・大根漬物製造業者として、原材料大根の産地と品質に拘り、創業から現在に至るまで一貫して全量国内産大根(100%)を使用している。現在の仕入れ量は年間約6,000トンで、近年では毎年約5%の割合で増加している。

・最終製品の特色にあわせた優良な原料を周年的に確保するため、和歌山県をはじめとする全国各地域(青森県、新潟県、宮崎県、鹿児島県)の大根産地において、個人或いはJA(越後中央、新潟みらい等)と連携を図り、契約栽培に取り組んでいただいている。取り組みを進めるにあたっては、農事組合法人(宮崎県:田野大根生産組合)の設立等農家の組織作りに対しても積極的な支援を行って参りました。これらの成果として、契約栽培による仕入れ量は、全仕入れ量の97%に至っている。

 

○生産者ヘの技術指導等、農業への支援

・本県特産の「紀州大根(和歌山ダイコン系品種)」は、柔らかな肉質と瑞々しい歯ごたえで大根の王様と呼ばれるにふさわしい品質を有しており、弊社においても主力商品「紀の川漬」等の原料として活用してきた。かつて同品種においては、根身の不揃いやス入りの発生等品質の劣化が著しくなり、通常の原料大根に比べ秀品率が約6割に低下するなど、原料の安定的な確保並びに農家の所得安定の両面において大きな課題となっていた。このため、弊社と地元種苗事業者、生産農家等が連携して品種の改良に取り組み、従来品種に比べ秀品率が約4割向上する品種を誕生させ。

・また、新たな需要を喚起するための新商品の開発に当たっても、和歌山地区漬物協同組合として県農業試験場や生産農家と連携し、優良系統の選抜と生産・加工に一体的に取り組むプロジェクトを実施する等行政機関の支援も仰ぎながら業界全体の活性化に尽力してきた。

・さらに、多様な商品展開を行うに当たり、原料大根に求められる品質も商品によって異なるため、毎年、栽培開始前に各産地に出向いて現地の契約農家と話し合いを行い、栽培期間や収穫目標等の栽培基準の作成支援等にも努めている。

・遠方の産地については、原料大根は産地において一次加工の塩漬けまで実施していただくこととしており、その取り扱い並びに使用資材の統一等加工手法についても詳細な指導に努めている。これら一次加工の取り組みは一部契約農家にも実施していただいており、農家収益の向上にも貢献する取り組みとなっている。

 

○国産農産物を利用した新商品開発

・漬物製品については、製造以降の経時変化に伴い食味が変化し、ときには消費者からのクレーム要因となります。弊社では、冷蔵設備(700坪規模)を整備し、原料大根の長期貯蔵に取り組みました。このことにより、商品の計画的・周年的な製造・供給体制が構築され、商品毎の特徴ある食味・食感を損なうことなく、安定的に消費者に提供できるようになった。

・これらの取り組みを基本に、新商品の開発にあたっては、地元の特色ある漬け原材料を利用したコラボ商品等の製造に積極的に取り組んできた。

・平成16年に商品化した「醤油味噌漬」は、醤油発祥の地である本県湯浅の老舗商店の醤油と味噌を使用しており、たまり醤油の甘辛さが濃厚な旨味をうみだし、ご飯にはもちろん日本酒や焼酎等お酒のあてにも相性抜群と、お客様から高い評価をいただいております。平成24年には、本県内蔵元の酒粕を使用した「酒粕漬」の販売を開始しました。芳醇なお酒の香りが際立ち、かつ、隠し味の味噌が酒粕のクセを抑えまろやかな風味が味わえる商品となっている。

・また、この他にも高知産の生姜を使用した、少し甘口ながらも生姜の風味が食を誘う「生姜だいこん」等の開発・販売にも取り組んできている。

・さらに、漬物の持つ発酵食品としての機能性を有効に活かすため、本年度から和歌山県工業技術センターと研究契約を交わし、2年後の商品化を目途に開発を進めるなど、多様化する消費者ニーズにマッチした新商品の開発に積極的に取り組んでいる。

 

○販売促進

・弊社では、地元関西エリア一円を主なターゲットとして、量販店での店頭販売を中心に販売促進に取り組んできており、優れた品質の多様な製品を周年的に安定して消費者に提供できるよう、流通コストの抑制に取り組みつつ、適正な価格で供給するとする販売戦略となっている。

・一方、より多くの消費者の方に弊社の商品をご賞味いただきたいとの思いから2010年にインターネットによる通信販売を開始いたしましたところ、徐々にリピーターも増加しており、ダイレクトメール等を活用した新商品のご案内等情報発信にも取り組んでいる。

・また、通信販売にあたっては、お客様に迅速かつ直接的に商品をお届けできる利点を活かし、「香白庵(こうびゃくあん)」とする別ブランドを立ち上げ、より品質にこだわった商品を最も美味しいタイミングで食べていただけるよう、創意工夫により販売促進に努めている。

・さらに、知的財産権の活用として、主力商品である「紀の川漬」については商標登録を行い、地域の同業有志らで構成する「紀の川会」を組織し共同活用することにより、地域特産商品として一層の販売促進にも取り組んでいる。

 

(地域農業との連携、地域活動等)

○地域社会との連携

・平成18年5月から和歌山地区漬物協同組合の理事長に就任し、組合活動に貢献しています。また、和歌山地区漬物協同組合・紀州みなべ梅干協同組合・紀州田辺梅干協同組合の3団体からなる和歌山県漬物組合連合会の理事長をはじめ、関西漬物協会の副会長、全日本漬物協同組合連合会の常務理事を平成25年5月から現在まで務めており、地元だけではなく、広く和歌山県内外の漬物業界の振興発展に尽力している。特に、全日本漬物協同組合連合会においては沢庵漬委員会委員長として、「たくあんの日(11月11日)」の制定に取り組んでいる。

・さらに、和歌山県消費生活審議会、和歌山県食の安全県民会議、和歌山県加工食品輸出促進協議会の委員も務めるなど、地域社会・行政との連携を密にとり、地域貢献に積極的に取り組んでおります。

 

○地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況貢献

・和歌山県食品産業協議会については、和歌山県漬物組合連合会が理事として参画し、弊社代表取締役河島歳明が平成25年5月から副会長を務めております。また、和歌山県食料産業クラスター協議会についても、和歌山県食品産業協議会を母体とし、地域食材を利用した新商品の開発支援やFCP品質管理セミナー等にも積極的に参画し情報の収集と活用に取り組んでいる。

 

○地域の雇用先としての貢献

・弊社では、地域雇用の体制を推進しており、毎年安定した雇用を実現する観点から、年齢層も18歳~70歳以上までと幅広く、多様な人材を対象に雇用を行っている。特に、近年は生産量の増加等に伴い、直近5年間で約20名の増員を実施したところでもある。

 

(原料原産地表示の取組等)

・すべての商品に対し、「国産」である旨原料原産地表示を記載している。

また、和歌山県産原材料を使用した製品は、県が推奨する「和歌山県優良県産品(プレミア和歌山推奨制度」や「和歌山県ふるさと食品認証制度」の認証を受けるなど、消費者に対し「国産(和歌山県産)」を使用している旨をより分かりやすく情報提供するよう心がけている。