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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品流通部門(2017)
農林水産大臣賞

伊藤 信宏

所属:伊藤鮮魚店(店主)
所在地:福岡県 北九州市
業種:水産物小売業

【功績申請の概要】

  • 永年に亘り北九州市で鮮魚小売業に精励しながら、地元の北九州市や福岡県、九州地域での同業者団体、全国団体の要職を歴任し、誠実・温厚な性格と公正な判断力と卓越した企画力・統率力で、各団体の組織強化並びに組合員の社会的地位の向上と経営の安定に尽力。
  • 水産物は品質劣化が早く、食中毒事故等が発生しやすいため、組合員及び消費者への情報周知と組合員の衛生知識の普及啓発に取り組み、事故発生予防と消費者の不安解消に尽力。また、食中毒事故等が発生した場合に消費者の被害救済と水産物小売業者の経営安定を図るため、賠償責任保険への加入を促進。
  • 魚離れが指摘される中、一般消費者や高校生等を対象とした料理教室の開催等を通じて、水産物の栄養性や健康的な食生活に不可欠な食材であることの理解促進や将来を担う子供達への魚食文化の継承に尽力。
  • 任意団体であった九州鮮魚販売協同組合連合会について、中小企業等協同組合法に基づく協同組合に転換し、九州地域の組合員(鮮魚小売商)の地位の向上と組織強化に尽力。
  • 地元商店街の理事長として、小学生の職場体験・実習の受入れを続けるなど校外学習に積極的に協力。また、自らの鮮魚店は福岡県が推進している「子育て応援の店」推奨店に登録されており、店にシンボルマークを掲げて子育て支援に取り組んでいる。

【功績申請の具体的内容】


(企業・団体における活動及び発展への寄与)

  • 全国水産物商業協同組合連合会(全水商連)の副会長として
    生鮮魚介類は品質劣化が激しく、一部には寄生虫が存在し、食中毒などの事故が発生しやすいため、組合員に対し、不慮の事故により食中毒等が発生した場合の自衛策として、消費者の食中毒等被害の救済と水産物小売業者の経営安定を図るため、本連合会が行っている賠償責任保険への加入促進を指導し、水産物小売業者の社会的信用の確保と経営の安定に貢献。

    東日本大震災(平成23年3月)や熊本地震(平成28年4月)などの災害時には、全国の会員とともに義援金などの支援に積極的に取り組み、本連合会及び会員の団結力と社会的評価の向上に寄与。
  • 北九州水産物小売団体協同組合の理事長として
    標記協同組合(全水商連の会員)は北九州市中央卸売市場の開設(昭和50年)を契機に設立されたが、氏は設立時から理事に就任し、平成10年に専務理事、平成21年に理事長に就任。3年毎の売買参加権の更新指導などを通じ、組合のトップとしてリーダーシップを発揮して組織の活性化に尽力。

    組合運営では、各事業部の自主性を尊重しつつ、購買事業、福利厚生、宣伝教育を強力に推進。

    購買事業:年間販売目標額を定め、鮮魚小売商の必需商品である資材(一般包装資材・うつわ類・調味料類、わさび、うなぎ蒲焼き用商材等)について組合員のニーズに即応した共同購買事業を展開することにより、組合員への経営支援の強化と利便性の向上に尽力。

    福利厚生:食中毒の発生に備えた賠償責任保険と配達中の事故等の損害保険への加入を促進し、組合員の経営安定と社会的信用の確保に貢献。また、従業員の健康診断やレクリエーション(バス旅行等)を実施する等その福利厚生の充実に尽力。

    宣伝教育:組合員の相互理解と連携強化には情報の共有が極めて重要との認識から、機関誌「光鱗」の発行を年3回から4回に増やすとともに、お客様の購買情報や卸売市場に対する意見、お魚料理教室の開催情報、お魚料理レシピ、食中毒に関する注意喚起情報、漁師・船主インタビュー等、水産物業界を巡る状況を俯瞰的に把握できるものに内容を充実。また、機関誌を卸売市場関係者にも広く配布して情報の共有化を図っており、そうした取組みは関係者からも高く評価。

    魚離れが指摘される中、料理教室を開催する等、消費者に対する魚食普及活動を積極的に展開。例えば、平成28年度は、高校生や一般消費者を対象に「親子料理教室」「親子魚捌き方教室」などを7回開催し(参加者約260名)、水産物の栄養性や健康的な食生活にとって不可欠な食材であることの理解促進や将来を担う子供達への伝統的な魚食文化の継承に尽力。

    少子高齢化を背景として食生活が変化し、個人消費も停滞する中、小売商にとって商売の基本である仕入れを重視して、卸売業者を始めとする市場関係者に対してセリ時間やセリ売単位の公正化・適正化を要望するなど、「まちの魚屋」である組合員の経営の安定・健全化に尽力。

    熊本地震では全国の組合員から義援金など様々な支援を受けたことから、全水商連の会員の相互理解と組織強化を図る全国大会を平成30年4月に熊本で開催し、復旧・復興に努めてきた姿を全国の仲間に紹介することを計画。現在、全水商連の九州ブロック代表者として、熊本の組合関係者とともに大会に向けて鋭意準備中。


(業界における活動及び発展への寄与)

  • 北九州市中央卸売市場協会委員、同協会水産物委員会委員、同委員会水産物専門部会の副会長・委員として
    暴力団に対する対応策の強力推進、休開市の設定、子供料理王選手権大会の開催など、市場関係者と協力しつつ、卸売市場の健全な運営に尽力。

    市場開設者等の関係者に適正な市場取引を進言し、組合員の水産物の安定的な購入と北九州地域の消費者に対する水産物の安定的な供給に寄与。このことは「まちの魚屋」の地位の向上にも繋がっている。

    仕入れは企業経営の基本であり、鮮魚小売商にとって卸売市場が唯一の仕入れ先であることから、卸売市場における水産物の安定的な流通を図るため、市場内での着帽対策や食品衛生に係る食中毒防止対策などに市場関係者と協力しつつ尽力。

    市場内で発生するゴミ処理や発泡スチロールの再利用、駐車場スペースの確保、魚食普及積立金の徴収、市民感謝デー(隔月開催)、休開市の日程など市場関係者と一体となって市場の衛生管理や秩序維持に尽力。これにより、氏は、北九州市卸売市場開設30周年(平成18年)において市民特別表彰されたところ。

    日頃食卓に上る魚に感謝するとともに豊漁を願って、毎年、魚供養(9月)、セリ始め式(年始め)、子供料理王選手権大会(秋)などの行事を企画し、実施。
  • 福岡県下の10団体(約850名)で構成されている福岡県鮮魚商組合連合会において、氏は昭和58年に理事に就以来、常任理事、専務理事、副会長を歴任し、平成26年に会長に就任。この間34年にわたり、福岡県内の水産物小売商の振興と組織強化に尽力。各組合が行っている魚食普及活動(料理教室、魚祭り等)を積極的に支援し魚食普及にも貢献。これにより、氏は、第18回福岡県農林水産祭り(平成23年)において県知事賞を受賞。
  • 九州鮮魚販売組合連合会は任意団体として組合員の経営支援と情報提供などを行っていたが、氏は平成17年に専務理事に就任すると、九州農政局長の認可を得て中小企業等協同組合法に基づく協同組合に転換する等、組合員の地位の向上と組織強化に尽力。その結果、現在14組合が加入するまでに発展。平成26年には会長に就任しているが、一貫して九州地域の鮮魚小売商組合の取りまとめに大きく貢献。これにより、氏は、北九州市卸売市場開設40周年(平成28年)において九州農政局長賞を受賞。


(社会・地域経済における活動及び発展への寄与)

  • 自らの鮮魚店が所属する北九州市八幡東区の「荒生田商店街」の理事長として、約25年に亘り商店街の活性化・地域活動を展開。例えば、毎年11月に地元小学校の3年生を対象に商店街の魚屋や八百屋、肉屋などでの職場体験・実習を受け入れ、客との接し方や販売の礼儀作法などの体験を通して職業(小売業)への理解を促進。生徒の礼儀作法がキチンとしたものになったと学校関係者から評価されるなど、地域社会に貢献。
  • 北九州水産物小売団体協同組合理事長として、東日本大震災(平成23年3月)や熊本地震では義援金募集活動を展開。特に熊本地震では、自ら被災地を訪れ被害状況を把握した上で、全水商連に対して全水商連挙げての支援活動を要請。また、鳥取地震(平成28年10月)では、九州鮮魚販売協同組合連合会会長として支援活動を展開。こうした活動は、被災地域の組合員の復旧・復興と全水商連の団結力に大きく貢献。
  • 消費者の食の安全・安心に対する関心は高く、また、O-157 やサルモネラ菌による食中毒事故が発生していることから、鮮魚小売商団体の役員として、先頭に立って組合員と消費者に対して情報の周知を徹底するとともに研修会を通じて衛生知識の普及・啓発に努める等、食中毒事故発生の防止と消費者の不安解消に尽力。
  • 氏が経営する伊藤鮮魚店は、福岡県が全国に先駆けて平成18年度から取り組んでいる「子育て応援の店推進事業」の推奨店として登録され、店にシンボルマークを掲げるとともに子供連れの客には菓子類を配るなどのサービスに努め、子育て支援に積極的に取り組んでいる。