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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品流通部門(2017)
農林水産大臣賞

岩瀬 一雄

所属:横浜丸魚株式会社(取締役会長)
所在地:神奈川県 横浜市
業種:水産物卸売
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • (一社)全国水産卸協会の副会長として、卸売市場の持続的発展には、基本理念に基づいた将来像の明確化、その実現のための経営戦略と重要課題の設定並びに課題解決施策の実行が重要であることを提唱するとともに、率先して「横浜市中央卸売市場の経営ビジョン」を策定。こうした卸売市場の経営戦略の必要性は、国の卸売市場政策にも反映されるなど、その先見性は高く評価されている。
  • 横浜丸魚(株)の経営に携わるまで長年にわたり横浜銀行に勤務し、メインバンクとして同社の経営に関わり、また、同社の経営者となってからは、新規荷主の開拓による集荷力の強化、販売先の拡大を図るとともに販売先の与信管理の徹底により不良債権の発生を抑制し、同社をより収益性の高い企業へと発展させた。
  • 食料・農業・農村審議会食料部会において、中央卸売市場整備計画等について専門的知見をもって意見を述べる等国の政策決定に貢献。
  • 横浜市中央卸売市場開設運営協議会委員、横浜市場活性化協議会副会長として、横浜市が将来の卸売市場の経営の在り方を展望したビジョンを策定するに当たって、水産物卸売業者の立場から戦略的な市場運営の在り方を積極的に提案するとともに、市場関係者間の意見調整を図るなど主導的役割を発揮。
  • 「お魚マイスター」「お魚かたりべ」の取得を奨励し、これらマイスターを中心に横浜市場が一体となって学校や保育所に出向いて料理教室や講演会を開催するなど実践型食育活動を展開。
  • 毎年10月に開催する「市場祭り」に、産地として繋がりのあった塩竃市に参加を呼びかけるなど、地域活性化と被災地支援の両面から尽力。こうした取組に対し、塩竃市長から市政功労者として表彰されている。

【功績申請の具体的内容】


(企業・団体における活動及び発展への寄与)

  • (一社)全国水産卸協会の副会長として
    平成19年6月以降現在に至るまで(一社)全国水産卸協会の常任理事、副会長を歴任し、この間、理事会や正副会長会議などにおいて、卸売市場の持続的な発展のためには、基本理念に基づいた将来像を描くとともに、その実現のための経営戦略と重要課題を設定して課題解決のための具体的施策を実行していくことの重要性を提唱。平成27年には率先して「横浜中央卸売市場の経営ビジョン」を策定。こうした卸売市場の経営戦略の必要性は国が策定した「第10次卸売市場整備基本方針」(平成28年1月)にも反映されるなど、その先見性は高く評価されている。
  • 横浜丸魚(株)役員として
    横浜丸魚(株)は長い伝統と水産卸会社としてのノウハウを有しているが、近年の人口の減少や少子高齢化による水産物消費の減少や若者の魚離れが続く中、以前のような右肩上がりの販売実績を続けることは難しい状況にある。氏は、横浜丸魚(株)の経営に携わるまで長年にわたり(株)横浜銀行に勤務し、横浜丸魚(株)のメインバンクとして同社の経営に深く関わったが、同社の経営者となってからは、状況を憂慮し、今後とも水産卸会社として発展していくためには、何より経営体質の強化が重要と考え、新規荷主の開拓による集荷力の向上や販売先の拡大を図るとともに、販売先の与信管理の徹底により不良再建の発生抑制に取り組み、同社をより収益性の高い企業に発展させた。

    流通の多様化や食の安全・安心に対する要求の高まりなど、卸売市場を取り巻く環境が変化する中、業務体質を見直すため、社内にIT推進委員会を設立してIT活用による経営の効率化を追求。その結果、平成21年にシステム会社と共同して新たな電子帳票システムを構築し、管理帳票のペーパーレス化と情報の共有化を実現。これにより、業務の合理化・効率化及び情報の共有化による営業力と安全・安心の強化を同時に実現。

    横浜丸魚(株)は、現在、横浜市中央卸売市場本場(横浜本場)、川崎市中央卸売市場北部市場(川崎北部)、川崎市地方卸売市場南部市場(川崎南部)の3市場において営業活動を行っているが、氏は、横浜本場は実需者への供給に加えて他市場への供給機構も併せ持つ物流拠点として、川崎北部はディテールサポートに力を入れた市場として、川崎南部は制約の少ない地方市場という特色を活かした自由度の高い取引を行う市場として、それぞれに異なる機能を持たせた運営を行い、経営の安定化を図っている。


(業界における活動及び発展への寄与)

  • 平成25年9月から29年7月まで、卸売市場業界を代表して食料・農業・農村政策審議会食料部会の臨時委員に就任。卸売市場法をはじめとする様々な法令等に基づく食料産業施策についての審議に参画し、特に「第10次卸売市場整備基本方針」(平成28年1月策定)や「第10次中央卸売市場整備計画」(平成28年4月策定)に関する審議においては、専門的知見をもって意見述べる等、国の政策決定に多大な貢献。
  • 平成25年9月以降現在に至るまで特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構の漁業改革推進集中プロジェクト中央協議会の委員に就任。漁業者の収益性向上のために漁業者と地域が一体となって実施する「漁業構造改革総合対策事業」の適正な推進のため、漁業の改革に取り組もうとする地域協議会(構成員:漁業者、流通加工業者、地方公共団体、有識者)が策定する改革計画について、横浜丸魚(株)の社長・会長業のかたわら相当の時間と労力を割いて積極的に審査に加わり、水産流通業者としての立場から厳正かつ的確な判断を行うことにより、我が国水産業の健全な発展に寄与。
  • 横浜市が将来の卸売市場の経営の在り方を展望した「横浜市中央卸売市場本場水産物部経営ビジョン~横浜食文化の一丁目一番地へ」(平成27年5月)を策定するに当たって、横浜市中央卸売市場開設運営協議会委員、横浜市場活性化協議会副会長及び水産物卸売業者の立場から、戦略的な市場運営の在り方を積極的に提案するとともに、関係者間の意見調整を図るなど主導的な役割を発揮。
  • 横浜市中央市場卸売市場南部市場の廃止と本場への統合(平成27年3月)にあたり、横浜市場活性化協議会副会長等として、市民に引き続き水産物の安定供給を図るため、統合を積極的に推進するとともに統合後の南部市場の在り方(加工・配送・流通の場として本場を補完)について横浜市や市場関係者に積極的に働きかけ、市場の円滑な統合と1市場体制への移行の実現に尽力。
  • 横浜市中央卸売市場において、市場の認知度の向上と市民への感謝の還元を図るため、毎年10月に「市場祭り」を開催。特に、東日本大震災(平成23年3月)以降は被災地支援への取組を市場祭りの主要テーマとし、それまでも産地として繋がりのあった塩竃市に祭りへの参加を呼びかけるなど地域活性化と被災地支援の両面から尽力。こうした取組が評価され、平成28年11月に塩竃市長から市政功労者として表彰されたところ。
  • 水産業は神奈川県の主要産業の一つであり、横浜銀行勤務時代は、同県内の水産流通業者等と深く関わり、資金調達に苦心する事業者に対しては融資等により積極的に支援するとともに、金融・経済の専門的知識をもって的確な経営指導や助言を行う等、水産流通業者の経営の効率化・安定化と健全な発展に大きく貢献。
  • 横浜市中央卸売市場開設運営協議会委員及び横浜市場活性化協議会副会長として、生鮮食料品等の円滑な流通と市民の食生活の安定・向上を図るため、市場開設者と連携の上、市場業務の運営に必要な事項を調査・審議するとともに、市場で働く人材の育成などを推進し、市場の秩序の維持向上と業務の合理化に貢献。


(社会・地域経済における活動及び発展への寄与)

  • 食育基本法の制定(平成18年6月)を契機として、日本お魚マイスター協会による「お魚マイスター」の取得を自社従業員に奨励し、現在までに7名のマイスターを輩出。また、魚離れを食い止めるため、マイスターの中から水産庁長官任命の「お魚かたりべ」も輩出。これらマイスターを中心に地域の学校や保育所に出向いて料理教室や講演会を開催するなど実践型食育活動を展開し、地域の豊かな食生活・食文化の推進に尽力。
  • 平成19年6月以降現在に至るまで、全国でも有力な商工会議所の一つである横浜商工会議所の常議員を務め、更に平成28年からは卸・貿易部会の部会長に就任し、経営・支援事業などを通じて中小商工業者の健全な育成を図り、横浜市全体の経済の発展に寄与。
  • 国際都市横浜の企業経営者として、平成28年6月に横浜日米協会理事に就任。横浜銀行勤務時代における5年半余りのニューヨーク勤務経験も生かして、横浜を基盤とする日米産学官の著名人や会員との交流の場などにおいて日本の良さのアピール活動を積極的に行うなど、日米の良好な関係の構築に尽力。