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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品流通部門(2016)
農林水産大臣賞

全日食チェーン中国協同組合

代表理事(理事長):岸本 孝弘
所在地:広島県 広島市
業種:ボランタリーチェーン
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • 中国地区の協同組合として、小売主宰ボランタリーチェーン(VC)のメリットである店頭情報を活かしたチェーン運営を推進して加盟店の商業・小売活動を支援し、地域商業の活性化に大きく寄与。 輸送温度帯の異なる商品を同じトラックで運ぶことにより、物流の低コスト化と加盟店への多頻度小ロット・全品適時供給を実現。同時に、環境保護(CO2削減)にも貢献。
  • 受発注、伝票発行、物流への作業指示書作成等を全日食チェーンの「Heart One」システムで行うことにより川上から川下までをサプライチェーン化し、その生産性の向上、ローコスト・オペレーションを実現。
  • 加盟店舗に全日食チェーンのVC-POSシステムを配置してチェーン本部と加盟店間とをネットワーク化し、売れ筋商品の把握、最適な販売価格の設定、適正発注など、加盟店舗と本部との情報共有化による商流の最適化を実現。これにより、加盟店も精度と効率性に優れた店舗運営、負担軽減、人件費の削減等を実現。
  • 中山間地域の多い中国地区には「仕入難民」の中小小売店が数多く存在するが、一括配送により通常ではコスト的に配送困難な規模の店舗にも配達を実現。
  • 地方自治体等と連携して買い物弱者問題への取組活動を展開。食料品店が消失した地区において、地区住民による廃校を利用した店舗経営に対し、全日食のシステムをフル活用して生鮮品等を配送し、市街地のスーパーマーケットと同価格での販売を実現。
  • 生産者・加工業者と連携して、中国地域の良質な農水産物の販路拡大・消費拡大に寄与。また、地域外の良質な農産物についても、共同仕入れにより安定的・継続的な仕入・販売を実現。

【功績申請の具体的内容】


(食品流通の高度化・近代化の推進)

  • 共同事業の推進
    本組合は、平成10年に、全日食チェーンの11番目の地区本部として22企業38店舗により設立。地元有力食品卸問屋の広川(株)を中心とした広川グループと全日本食品(株)が共同出資・設立した(株)中国VMN(Voluntary Merchandising Network)と提携して商品供給を開始。

    平成11年に設立された全日食チェーン島根協同組合とは密接に連携しつつ活動を続けていたが、規模拡大による事業効率化と一元化による経費削減を図るため、平成28年に同協同組合を吸収合併し、中国地区全体に地域密着の「食」を提案する小売店ネットワークを形成。卸主宰VCや小売主宰VCが衰退している中、全国チェーン組織のメリットを活かして組織化を進め、平成29年3月末現在、中国5県を活動区域として44組合員53店舗が加盟するまでに成長。

    広島チルドセンターを拠点とした広域物流体制(島根・鳥取両県向けの地場産品は島根チルドセンター経由)により物流を徹底して効率化し、中山間地域が多く限界集落が多数存在する中国地区の加盟店に永続的に商品を配送できる体制を構築し、地域住民の食のインフラを支えている。
  • 新たな物流システム・技術への取組
    全品供給体制を基本とする中、生鮮品・日配品は2個から、グロッサリー・日用品は3個からバラ数量でも出荷対応する多頻度小ロット配送を実現。これにより、加盟店は必要以上の在庫を持つことがなくなり、在庫管理が容易になるとともに、常に鮮度の良い商品が並ぶ売り場の維持、多様なニーズに応えた品揃えが可能となっている。

    加盟店からの受注、各メーカーへの発注、伝票発行、物流への作業指示書(ピッキング表)の作成を全日食チェーンが開発した「Heart One」システムで行うことにより、川上から川下まで効率的に情報を共有化しサプライチェーン化を実現。これにより、川上から川下までを通じて生産性の向上、ローコスト・オペレーションが可能となっている。

    広島市と島根県にある配送センター(チルドセンター)を交通の要地に近接した地に移転し(平成16~18年)、物流の効率化を図った。
  • 新たな商流システム・技術への取組
    全国の全日食チェーン協同組合が共同出資する全日本食品(株)が管理運営するVC-POSシステムは、全国の加盟店が販売するすべての商品の売上管理等を一括処理しており、これによる売れ筋情報や販売予測を各店舗で活用。加盟店は、本システムによるビッグデータを活用することにより、中国地区において大手スーパーマーケットに負けない精度と効率性に優れた店舗経営を実現。
  • 流通の低コスト化と需給の安定化への取組
    商品を配送センターで荷受けし、加盟店別に小分けした上で温度帯の異なる商品を1台の冷蔵トラックで配達することにより、物流の低コスト化と加盟店への小ロット・全品適時供給を実現。同時に、CO2削減など環境保護にも貢献。

    中山間地域が多い中国地区では店舗があっても仕入ができない「仕入難民」が数多く存在するが、一括配達による効率化で、通常ではコスト的に配達ができない規模の店舗にも商品の配達を可能としている。
  • その他食品流通の近代化・高度化の推進
    商流については、「Heart One」システムにより川上から川下までのサプライチェーン化を実現。さらに、配送センターの自動化・無人化、常温・冷蔵の商品に冷凍商品も加えた3温度帯に対応した配送車による一括配送などの物流効率化を予定。

    LINEなどのSNSを活用して、加盟店同士及び消費者向けに、リアルタイムでの情報発信と情報共有を展開。


(顧客サービス等の充実)

  • 多様化・高度化する消費者ニーズと対応への工夫
    高齢一人暮らしの増加、女性の社会進出等により消費者ニーズが変化している中、以下の取組を展開し、売れ筋商品の選定や最適売価の選定等を的確に行うとともに、変化する消費者ニーズに適切に対応。
    ①VC-POSシステムを通じて収集したビッグデータを分析し、売れ筋商品の選定、死に筋商品の把握、最適売価の選定などを行う「進・新商品施策」。
    ②全日食チェーン独自の顧客別販促であるZFSP(全日食フリークェント・ショッパーズ・プログラム)による顧客の購買履歴を基に、顧客がいつも買っているものにポイントがつくクーポンを発行。折り込みチラシ以上の販促効果があり、販促費の節減とより生産性の高い販促を実現。
    ③高齢者や幼児のいる世帯へのサービスとして、店舗で購入されたものを配達したり、電話で注文を受けたり御用聞き(店舗側から電話する)を行う「全ちゃん配達便」

    VC-POSシステムについて、顧客が自ら精算するスピードセルフレジを導入し、レジ作業の効率化とレジチェッカーのストレス回避を実現。また、同システムを計量プリンターと連動させることにより、総菜商品のアレルゲンや添加物等の食品表示法による細かな表示記載にも対応。
  • 高齢者等買い物弱者への対応
    中山間地域を多く抱える中国地区では買い物弱者問題が深刻となっている中、地方自治体や商工会と連携して買い物弱者問題への取組を展開。

    例えば、島根県雲南市では、同市が推進する買い物弱者対策(マイクロスーパー事業)に全面的に賛同し、唯一の食料品店が閉店した地区(160世帯350人。高齢化率50%以上)において地域住民の自主運営組織(波多コミュニティ協議会)が経営する店舗「はたマーケット」(廃校の教室を改装。雲南市がマイクロスーパーに指定)に対し、全日食チェーンのシステムをフル活用して生鮮品から日配品、ドライグロッサリー、日用品、酒類などを配送。これにより、同店舗は、市街地のスーパーマーケットと同価格での販売を実現。
  • その他顧客サービス充実への取組
    電子マネー・クレジットカードによる決済システムをPOSと連動させ、顧客の利便性向上を実現。その際全加盟店で取り組むことで手数料の料率を割安なものとするとともに、規模の小さな店舗でも安価に導入できることから、大手量販店やコンビニチェーンに引けを取らないサービスを提供。


(業界や社会への貢献)

  • 組織の充実・強化への取組
    加盟店としての行動規範を定めた「加盟店6原則」を実行。新規加盟店の勧誘開発、情報提供としての広報、会員加盟店のスキルアップのための各種教育研修を3大組合事業として展開。
    ①組織強化に向け、新規会員候補店に向けた経営セミナーを定期的に開催。また、組織拡大については、加盟店等も候補店の店舗視察や加盟勧誘に協力。
    ②情報提供としての広報活動として、「一人は皆のために、皆は一人のために(One for all,all for one)」の互助精神の下、毎月、協議会とオーナー会を開催。協議会(加盟店オーナーの代表役員と全日食食品(株)中国支社による会議)では、事業側(全日食食品(株)側)の要請、新商品の発掘、総菜への取組等について加盟店に発信。オーナー会は、各地域別に組織されたオーナーの情報共有の場として、売れ筋商品の情報共有や加盟店の悩み・課題の解決に活用。
    ③教育研修として、各種経営セミナーのほか、年々高まっている総菜の強化に向けた研修を開催。スチームコンベクションを使用した下ごしらえ(メーカーともタイアップ)、商品化する場合の生産性向上方法、地元野菜を使った商品開発等を指導教育。地元野菜を使った商品開発は、地元農産物の消費拡大にも貢献。

    人材育成への取組として、後継者育成を目的としたジュニアボード会議を組織し、後継者世代が全国、中国地区の双方で活動中。「全国」では、共通する悩みや生き残りのための対策等について、SNSも活用して、若い世代ならではの新たな発想での取組を展開。「中国地区」では、総菜強化の取組の中心メンバーとして活動するとともに、メンバー同士の定例会を開催し、各店舗の悩み・課題を共有し、連帯感を醸成・強化。
  • 行政施策の推進・活用への取組
    全加盟店について、消費税軽減税率に対応しうる新たなVC-POSへの切替・導入を推進中(平成29年7月現在の導入率67%)。政府の進める消費税施策の円滑な展開に対応・寄与。
  • その他業界や社会へ貢献する取組
    熊本地震(平成28年4月)においては、広域チェーンの仲間(加盟店)救済として、他地区から届いた救援物資を中継し、被災地へ配送。阪神淡路大震災(平成7年1月)、東日本大震災(平成23年3月)など数々の災害においても支援活動を行ってきており、そうした経験から、その時々で必要な支援や物資供給の体制を確立し、復興の段階に合わせた支援活動を実行。


(農林水産業への寄与)

  • 地域農水産物の利用充実・販売促進への取組
    中国5県の豊かな農水産物の生産者・加工業者と直接連携して、質の良い農水産物を消費者に提供。それにより、地域の農水産物の販路拡大と消費拡大に寄与。
    (例)
    広島県世羅産のピオーネ、とうもろこし、大根、キャベツ
    松江市恵曇のハタハタ、イワシ、アジ、サバ等の干物
    広島県尾道市のちりめん、海藻、干物等

    他地域産の農産物についても、共同仕入れに取り組むことにより、安心・安全な良品の安定的・継続的な仕入れと販売を実現。
    (例)
    青森県産りんご(サンふじ、王林など)
    愛媛県産みかん(日の丸みかん)
    愛知県三河産ブランド豚(みかわポーク)