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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2017)
農林水産省食料産業局長賞

水溜食品株式会社

代表取締役:水溜 政典
所在地:鹿児島県 南さつま市
業種:漬物佃煮類の製造販売
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【功績申請の概要】

  • 当社は昭和16年の創業以来、産地に立脚する企業として、「美味しさの先に感動を」をキャッチコピーに事業を展開し、鹿児島県と宮崎県の契約農家で栽培された、安心・安全な寒干大根や高菜を使用した「寒干沢庵」、「たかな漬」等の商品を提供している。
  • 伝統の製法を守りながら、現代の味覚や健康志向に合わせ、漬物の塩分を3.0~3.5%に抑え、化学調味料等を使わない製品づくりを行っている。じっくりと低温発酵したあとに味付けする「寒干大根」は、色や味、香り高い風味が特徴であり、食物繊維やギャバを豊富に含んでいることから、健康食品としても注目されている。
  • 当社は、これまで、安心・安全な食品提供のため、クリーンルームの導入や、トレーサビリティの考えから生産地を明記するなど食品衛生管理の体制強化を図ってきた。今後は、HACCP認証の取得も視野に入れている。
  • また、国内流通だけでなく、海外(米国、欧州)輸出を開始したことから、米国食品医薬品局(FDA)の査察に合格したところである。
  • この他、地域イベント等への積極的な協賛・協力、小学校での出前授業の開催による食育の推進、市職員の工場体験による研修への協力による人材育成への貢献、さらには地元雇用を推進し地域社会振興にも大きく貢献している。

【功績申請の具体的内容】

【農商工連携の推進】

  • 国産農産物の利用、契約栽培の状況
    たくあんの原材料である寒干大根と高菜漬けの原材料の高菜は、すべて鹿児島県と宮崎県の契約農家で栽培されてものを使用している。

【原材料使用量の推移】

  • 寒干大根:
    平成26年度:711t(うち鹿児島 669t/宮崎 42t)
    平成27年度:618t(うち鹿児島 567t/宮崎 51t)
    平成28年度:581t(うち鹿児島 547t/宮崎 34t)
  • 高菜(すべて鹿児島産)
    平成26年度:152t/平成27年度:139t/平成28年度:209t
  • 生大根(すべて宮崎産)
    平成26年度:95t/平成27年度:95t/平成28年度:88t

※寒干大根の使用料減少傾向の要因
農家の高齢化による個々の生産量の減少や、農家自体の減少による。(寒干大根生産はやぐらを立てての作業であり、重労働であるため)
当面、当社の需要量は賄えるが、今後新たな農家の育成にも取り組む必要があると考えている。

  • 生産者ヘの技術指導等、農業への支援
    南さつま市の契約農家を対象にして、定期的に講習会を行っている。講師には、JAや農業大学校、自治体技術職員を招へいし、栽培技術向上や病害虫対策を重点テーマにしている。
  • 国産農産物を利用した新商品開発
    平成26年には、消費者が食べやすい形態の新商品として、一口サイズの個(ピロ)包装漬物「ぽり×2」を開発、発売した。この商品は、南さつま市のふるさと産品コンクールで銀賞を受賞した。また、全国のイオン等に出店する「カルディコーヒーファーム」で取り扱われ、好評を博している。その他、鹿児島県産の筍、ごぼう、キクラゲの漬物の商品化に向けて、研究開発を行っている。
  • 販売促進
    県内スーパー等との取引のほか、ネット販売にも注力している。また、物産展や展示会、商談会には積極的に参加するほか、兵庫県に営業所を開設し県外の販促にも力を入れている。
    さらには、平成22年より商社を通じ、米国、欧州への輸出を開始している。年間売上高は、米国、欧州合わせて約10百万円であるが、将来的には20百万円規模を目標としている。また、アジア圏への輸出も視野に入れているところである。

【地域農業との連携、地域活動等】

  • 地域社会との連携
    地元(南九州市頴娃町、知覧町)の43軒の農家と40年来の契約栽培をおこない、安心・安全な食材を安定的に確保するとともに、当県基幹産業である農業振興に寄与している。
    地域のイベント等への協賛・協力を積極的に行っている。近年では、「吹上浜砂の祭典」、「金峰山ウォーキング」、「ジョイントコンサート」に継続して協賛しており、地域振興に寄与している。
    小学校での出前授業の開催、工場見学の受け入れ等により食育の推進を図っている。
    南さつま市の新入職員を対象とした工場での研修受入を行い、人材育成へ貢献している。
  • 地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況
    JAと連携して契約農家の営農や技術の向上を図っている。食品産業協議会の開催する研修会や消費者との懇談会に積極的に参加し資質向上に努めるとともに、総会にも出席し運営に協力している。また、鹿児島県漬物商工業協同組合(18組合員)の組合員であり、当社代表取締役は理事(H19~H27理事長)として特に積極的に組合運営に携わっている。組合では、「鹿児島つけもの大使」の任命や、漬物の応援歌「ふるさとの贈り物」の制作など、業界の振興発展に向け活発な活動を行っている。
  • 地域の雇用先としての貢献
    当社には、正社員44名、パート・アルバイト2名の計46名が従事しているが、全従業員の99%にあたる45名が県内雇用、80%にあたる37名が南さつま市出身者の雇用であり、地域の雇用を支えるその役割は大きい。

【平成29年8月現在の雇用状況】

  • 正社員:
    男性:12名/女性:32名/合計:44名
  • パート・アルバイト:
    男性:0名/女性:2名/合計:2名
  • 合計:
    男性:12名/女性:34名/合計:46名
  • 県内出身者:
    男性:11名/女性:34名/合計:45名
  • 県内出身者(うち南さつま市出身者):
    男性:11名/女性:25名/合計:36名
  • 県外出身者:
    男性:1名/女性:0名/合計:1名
  • 従業員の資質の向上のための取組み
    従業員の資質向上に向け定期的に研修会を開催する他、「女性リーダー」育成の勉強会を行うなど、従業員の4分の3を占める女性が今以上に活躍できる職場づくりを目指している。その他、平成26年には鹿児島国際大学が「地域力を生む自立的職業人育成プロジェクト」の一環として行った、「社長のカバン持ち持ち体験」の受入企業として、地元学生の人材育成にも貢献したところである。

【原料原産地表示の取組等】

「寒干沢庵」等は鹿児島県産のみでなく一部宮崎県産も使用しているため「九州産」と表示している。「たかな漬け」は100%鹿児島産であり、「鹿児島産」と表示している。