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受賞者一覧

平成29年度/第39回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2017)
農林水産大臣賞

中野BC株式会社

代表取締役社長:中野 幸治
所在地:和歌山県 海南市
業種:酒類・食品製造業
> 公式ホームページ

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【功績申請の概要】

  • 当社は、地元和歌山県の梅を加工し、梅果汁、梅エキス、梅酒等を製造販売している。梅果汁に関しては国内シェアの約80%を有する(JAS格付け実績より)。
  • 梅の機能性研究に力を入れ、各研究機関や大学等と共同研究を積極的に行い、梅の健康に関する効果を次々に明らかにしている。
  • 和歌山県はフルーツ王国と言われ農産物が豊富に栽培される県であるため、当社は梅以外にも、みかんや柿(どちらも生産量第一位)にも着目し、機能性を明らかにし、アレルギーやメタボリックシンドローム対策に有効なサプリメントを開発している。
  • このように、我々はフルーツ王国和歌山の地の利を活かし、和歌山の農産物が持つ機能性を明らかにし、健康に貢献する付加価値商品として世に送り出し、国民の健康維持に資することを目的とした研究開発を行っている。

【功績申請の具体的内容】

【農商工連携の推進】

  • 国産農作物の利用、契約栽培の状況
    当社では1971年から梅果汁の製造を開始し、今年で46年目となる。創業当時から地元和歌山県産の梅にこだわり、今日まで使用原料は和歌山県産梅100%を守り続けている。創業当初は数トン程度の取り扱いであったが、現在では年間800~1000トンの梅を地元JAから入荷、加工している。商品アイテムとしては、梅をそのまま搾った梅100%ストレート果汁、5倍濃縮梅果汁、10倍濃縮梅果汁、糖抽出梅果汁、梅ピューレ、梅酒、梅果汁を煮詰めた梅エキス等をB to B商品として製造している。
    地元JA以外に、キトサン農法など特殊な栽培方法を採用している梅農家、通常とは異なる時期に果実の収穫をお願いするみかん農家、柿農家とは契約栽培という形を取っている。原料の梅、みかん、柿はすべて和歌山県産である。
  • 生産者への技術指導等、農林水産業への支援
    加工に適したサイズや熟度、南高梅に於いては紅色の着色度合など生産者と打ち合わせを行い、栽培面に情報をフィードバックしている。近年では、実も皮も真っ赤な梅の新品種「露茜」を和歌山県の次世代ブランドに育てるべく、梅農家や地元JA、和歌山県の研究機関、農研機構らと連携して、新品種の栽培マニュアルの作成、赤色を最大限発色させる追熟技術の開発、現場レベルでの実証研究を農水省のプロジェクト事業として行った実績がある。当社では昨年より「露茜」を南高梅の2倍の価格で購入し、赤い梅シロップを商品化、販売を継続している。
  • 国産農林水産物を利用した新商品開発
    当社で最も製造量の多い商品は梅酒である。和歌山県産の南高梅で作った梅酒をベースに、みかんやゆず、はっさく、レモンなどのカンキツベースの国産果汁をブレンドし、新たなおいしさを創造した新商品(カクテル梅酒)を世に出している。今では約40種類ものラインナップに成長し、過去に単年度10憶円の売上実績を残している。
    梅の果汁を煮詰めて造られる「梅エキス」に血流改善効果のあることが、(独)農研機構 食品総合研究所の研究から明らかとなり、有効成分「ムメフラール」が発見された。当社ではこの「ムメフラール」の量をコントロールできる製造技術を開発し、有効成分を安定的に含有した梅エキスを提供している。更に、この梅エキスを梅果肉で丸剤に成型した商品を開発し、まさに、和歌山県産の梅100%でできた梅エキス丸剤「梅真珠」を商品化した。梅真珠はH22年優良ふるさと食品中央コンクールにおいて、(財)食品産業センター会長賞を受賞した。
    和歌山県はフルーツ王国と呼ばれ、梅だけでなく、みかん、柿、山椒など栽培数量全国第一位の農産物が複数存在する。当社では梅だけでなく、みかん、柿を加工した機能性食品も開発している。
    7月ごろの未熟なみかん(青みかん)にアレルギーを抑制する効果があることを近畿大学薬学部が発見し、共同で青みかんを粉末加工することに成功した。さらに、和歌山県北山村で発祥した香酸カンキツ類である「じゃばら」にも着目し、これらを同時に摂取することで抗アレルギー効果が更に高まることをモデルラットを使った実験で明らかにした。現在、アトピタンという商品名でサプリメントとして販売している。
    柿についても、7月ごろの未熟な柿(青柿)にコレステロールを下げる効果のあることを見い出し、渋みを残さず粉末加工することに成功した。コレステロールの高めの方80名に参加してもらったヒト臨床試験では、善玉と言われるHDL-コレステロールは下げず、悪玉といわれるLDL-コレステロールだけを下げるという有意な結果が得られ論文化を行った(N.Gato et al,.Ann Nutr Matab 2013,62;1-6)。このエビデンスをもとに、現在、「柿玉」という商品名でサプリメントとして販売している。
    新たな分野への挑戦として、国産カンキツの果皮から精油を水蒸気蒸留法で抽出した、国産のアロマオイル(商品名:Kisyu Waka)も最近発売を始めたところである。現在は、和歌山県産の山椒について、和歌山県立医科大学と精力的に共同研究を進めている。
    このように、フルーツ王国和歌山の利点を活かし、和歌山の農産物が持つ機能性を明らかにし、健康に貢献する付加価値商品として世に送り出し、国民の健康維持に資することを目的として日々研究開発に取り組んでいる。

【地域農林水産業との連携、地域活動等】

  • 当社会長は、3年前に和歌山県酒造組合連合会会長に就任し、現在も地元酒造メーカー発展のため組合活動に貢献している。また、和歌山県庁職員の企業研修(1ケ月)の受け入れや市内中学校の職場体験の受け入れ、年2回、工場を開放するイベント(梅酒Bar、日本酒Bar)の開催、最寄のJR海南駅周辺の清掃(毎週)など地元に根を下ろした活動を継続している。
  • 原料の和歌山県産梅は地元のJAを通じて購入を行っている。こだわりの品種やこだわりの栽培方法を採用している農家とは、直接お取引をお願いしている。
  • 当社は和歌山県食品産業協議会の会員企業であり、県庁の活動の一環としての海外プロモーションを共に行い、これを足がかりに輸出事業に力を入れている。
  • 地元の梅農家、県の研究機関と共同で梅新品種の育種と加工に関する共同研究を行い、地域の発展のために協力を行っている。

  • 当社の従業員は99%が和歌山県在住で、地域の雇用先として大いに貢献している。毎年数人程度新入社員をコンスタントに採用し、和歌山県出身者のUターン先の受け皿となっている。

原料原産地表示の取組み

当社が原料として使用する梅はすべて和歌山県産であり、品種も南高梅を表示している。梅以外の原料であるみかんや柿もすべて和歌山県産を使用しているので、こちらも商品パッケージには原産地表示を行っている。