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受賞者一覧

令和5年度/第45回受賞者

環境部門<食品リサイクル推進タイプ>(2023)
農林水産大臣賞

キユーピー株式会社

代表取締役 社長執行役員:高宮 満
所在地:東京都渋谷区
業種:ソース類等の各種食料品、医療原料、化粧品等の製造販売
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【功績申請の概要】

  • 多品種のマヨネーズを製造する過程で、異なる商品の製造への切り替え時に配管から排出されるマヨネーズなどの食品残さをバイオガス発電に活用し、2022年度(2021年12月~2022年11月)は、CO2排出量を約980t削減した(2015年度対比)。
  • バイオガス発電は、養豚農家の家畜排泄物と食品残さを混合し、メタン発酵後に生成されたバイオガスを利用して発電する仕組みで、現在、当社の五霞工場(茨城県)、中河原工場(東京都)、泉佐野工場(大阪府)、神戸工場(兵庫県)及びグループ会社のケイパックで行っている。
  • 廃棄マヨネーズ単体での再資源化が難しい中、技術開発により、廃棄マヨネーズと糞尿の再資源化、バイオガス抽出効率の最大化を実現し、それをバイオマス発電に繋げることで、当社、養豚業者、電気使用者の3社にとってWin-Winの先進的な取組スキームを構築した。

●功績申請の具体的内容

(資源・環境保全対策

(食品リサイクルの推進)

○食品廃棄物の発生抑制の取組

限りある食資源を利用する食品メーカーの重要な責任として食品ロス削減を実現している。例えば、子会社のデリア食品では、惣菜の製造工程ごとに適正な原料や仕込み量、適正な製品数、余分な廃棄ロス発生などを計量・確認するシステムを導入してデータ化することで、食品ロスの現状把握、要因分析、対策のサイクルを繰り返しながら、食品ロスの最小化の取組を日々行っている。また、製法や容器包装の改良による賞味期限延長と賞味期限の「年月表示」への切替えを通じた食品ロス削減にも取り組んでいる。

○再生利用等の取組

・ステークホルダーとの協働による食資源の有効活用に種々取り組んでいる。例えば、カット野菜を製造する子会社のグリーンメッセージでは、これまで事業規模では難しいとされたキャベツ・レタスの葉物野菜の飼料化に成功した。東京農工大学とキユーピーの共同研究では、この飼料を与えた乳牛の乳量増加が報告された。また、カット野菜を製造するサラダクラブでは、直営7工場で発生する野菜の外葉や芯などの未利用部を堆肥・飼料化し、契約農家などで活用されている。

・当グループは日本で生産される卵の約10%を使用。「キユーピー マヨネーズ」は卵黄を使用し、卵白はかまぼこなどの水産加工品やケーキなどの食品原料に、卵殻(年間約28,000トン)は土壌改良材やカルシウム強化食品の添加材などに有効活用している。卵殻膜は化粧品などへの高度利用に取り組んでいる。

○食品関連事業者・リサイクル業者・農業者・消費者等との連携

・商品の廃棄削減に取り組んでいる。商品廃棄の主原因は需要予測による生産と販売実績のギャップや流通段階での売れ残りによる返品などで、各社各部門の連携はもちろん、フードバンクへの寄贈も積極的に行うことで課題解決に取り組んでいる。

・関東地区の一部の販売店・卸店と連携し、各店舗の商品の販売傾向を見直して、商品の納入の最適化を図り、取組が難しいと言われていた返品ゼロを実現した。

・お客様が毎日の食生活の中で食品ロス削減を実践する支援を行っている。例えば、野菜の外葉や芯などを少しの工夫でおいしい食材として活用できるメニューを紹介する「とっておきレシピ」サイトで、2019年から東京家政大学の皆さんが考案したキャベツ芯、レタス外葉、ブロッコリー茎の活用レシピを紹介している。また、当社提供番組「キユーピー3分クッキング」で

食材を無駄なく上手に活用する工夫や、省エネにつながるアイディアなど、「エコ」なレシピを紹介し、「エコ」に取り組むきっかけを提供している。

 

(環境問題への社内体制等)

○環境対策の社内組織の状況等

当社サステナビリティ推進部が当グループのサステナビリティ活動のマネジメントし、サステナビリティに関する重要事項を決裁する機関としてサステナビリティ委員会がある。同委員会は担当取締役を委員長とし、サステナビリティ目標の達成に向けた方針・計画策定および取組を推進しており、年4回委員会を開催。重点課題に対する目標・取組についてグループ内への浸透と定着を図っている。また、リスクマネジメント委員会とも連携して、環境変化に対応し、経営基盤の強化を進めている。

○消費者への情報提供等の啓発活動の取組

ホームページや統合報告書等で消費者に情報提供を実施している。また、2022年6月より、小学生を対象とした出前授業「SDGs教室~キユーピーグループと食品ロス~」を開始した。SDGsを当グループならではの取組と紐づけて、分かりやすく、自分ごとにできるようなプログラムを心がけている。授業では、まず、今地球上で起こっている問題を話し、次に、ごみや食品ロスに取り組む企業の活動を紹介し、最後に自分にできることを考えてもらい、グループワークの後、発表してもらう。

○環境行政に対する対応・協力等

・「環境省ウォータープロジェクト」に2022年から参加。同プロジェクトは、2014年に「水循環基本法」に 基づき発足し、健全な水循環の維持・回復を目的とした取組を推進する官民連携プロジェクト。

・「CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)」に2020年から参加。海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチック製品の持続可能な使用、プラスチック廃棄物の削減につながる代替品の開発及び導入普及を図り、幅広い関係者の連携でイノベーションを加速するためのプラットフォーム。

・「あふの環2030プロジェクト ~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」に2020年から参加。2030年のSDGs達成を目指し、次世代も豊かに暮らせる未来を創るべく農林水産省が立ち上げたプロジェクト。

・「食環境戦略イニシアチブ(健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ)」に2021年3月から参画。産学官連携により、食塩の過剰摂取、若年女性のやせ、経済格差に伴う栄養格差などを重大な社会課題と捉え、活力ある持続可能な社会の実現を目指して厚生労働省が立ち上げた。

 

・「TOKYOエシカルアクションプロジェクト」に2022年12月から参加。東京都が主催するエシカル消費を啓蒙するプロジェクト。