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受賞者一覧

令和4年度/第44回受賞者

食品産業部門<農商工連携タイプ>(2022)
農林水産省大臣官房長賞

有限会社大久保水産

代表取締役:大久保 匡敏
所在地:鹿児島県いちき串木野市
業種:機船洩網漁業、ちりめん(水産物)加工
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【功績申請の概要】

  • 漁師自ら漁獲から発送までを行う鮮度確保システムを構築し、生産者の顔が見える一貫生産による新鮮・安心なしらすを生産している。また、鹿児島中央駅周辺にアンテナショップを構え、しらす料理の提供や当社商品の販売を行い、しらすの魅力発信を行っている。
  • 鹿児島県の特産品として全国に広く発信したいとの思いで新商品開発も積極的に行っており、県内企業と連携してお土産品等にもなる商品を世に送り出している。
  • 当社代表は、鹿児島県水産加工品販路開拓・ものづくり推進協議会の会長や(公社)鹿児島県特産品協会の理事を務めている。当社商品の加工技術を応用した商品開発にも協力的であり、鹿児島県の水産業界全体のブランド力強化を図ろうと、取り組んでいる。

(農商工連携の推進)

〇国産農林水産物の利用や契約栽培の推進

・鹿児島県には2本の暖流が流れている関係で、日本で唯一通年でしらす(かたくちいわし、まいわし)漁が出来るため、自社の持ち船で漁獲した国産のちりめんを100%利用している。しらすの原材料使用量は、令和元年度及び2年度は129トン、令和3年度は106トンである。

・また、しらすを加工したちりめんに混ぜ込む高菜は、水溜食品株式会社(鹿児島県南さつま市)から仕入れを行っており、年間約50㎏(使用する高菜の100%)の仕入れを行っている。なお、高菜は、鹿児島県・宮崎県で契約栽培されたものである。高菜ちりめん(40g)は平成11年度水産物品評会で「水産庁長官賞」を受賞。

〇生産者ヘの技術指導等、農林水産業への支援

・漁師自らが漁獲から発送まで行う鮮度確保システムを構築し、技術指導を行っている。網を引く時間は、1回ごとの水揚までの所要時間は「ちりめん」で約2時間、それより傷みやすい「かえり」は1時間で済ませる。また、水揚げから釜茹でまでのトラック運搬所要時間は約5分である。風冷・乾燥工程は「ちりめん」は2分45秒、「かえり」は1分45秒で行うよう徹底しており、生産性と鮮度を両立させている。

・無添加商品へのこだわりがある。ちりめんと混ぜ込む高菜やしば漬け等については、人工着色料を使わないものを依頼し、より安心・安全な商品で素材の味を活かした商品づくりを行っている。例えば、花ちりめんのように素材が持つ形を花に例えるなど、華美な包装や複雑な加工技術に頼らず素材の持つ自然の良さを消費者に訴求している。

〇国産農林水産物を利用した新商品開発

・地元の菓子店(モンシェリー松下、県下に6店舗)と共同開発した「ちりめんぬれせんべい 昭和四年」は、特別な製法で創り出した洋風せんべい菓子で、鹿児島県産の醤油を使用している。当社と菓子店の先代同士が同級生で、「いつか2人で何か作ろう」と話していたことが発端となり、それぞれの社を継いだ現代表の2人が試作を重ね商品化に至り、鹿児島空港売店等で販売している。出荷数量は、令和元年度:300個、令和2年度:340個、令和3年度:350個と増加傾向である。

・屋久島のトビウオ漁師から当社の「花ちりめん」(素材を高温プレスして薄焼きにし、煎餅のように気軽に食べられるもの)の様な商品がトビウオで出来ないかとの相談が有り開発を進めた。トビウオの乾燥具合やチップスにする際のトビウオをカットする大きさ等の検討に約3カ月を要した。

・消費者から、鹿児島県の代表的な魚である「きびなご」を手軽に味わえる商品の要望があり、鹿児島県出水市にある水産会社から仕入れを行い、「花きびなご」の商品化に至った。出荷数量は、令和元年度:600個、令和2年度:650個、令和3年度:650個と増加傾向である。

・上記商品はいずれも鹿児島県の魚を広く全国に知ってもらいたいとの思いから新商品開発を行った。国産素材100%・無添加の商品でもあることから、子供のおやつとしても取り入れやすい。また、料理の素材や酒の肴等、様々な場面で活躍できる商品である。同量の釜揚げしらす・ちりめんに加工をすることで、付加価値が当社比約4倍となり、売上に貢献している。常温での持ち運びが可能なため、より多くの消費者に届けやすく、売上以上に当社の広告塔的役割を果たす商品となっている。

〇販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進

・鹿児島中央駅近辺の商店街内にアンテナショップを構え、ちりめんの食べ方を提案するとともに、商品の販売を行っている。

・自社ECサイトや大手ショッピングモールへのギフトセットの出品を行っている。

・地場産品直売所「いちきえびす市場」での常設販売の他に、店頭販売も実施して販売員による呼び込みを実施している。

・鹿児島県漁連が県内外の仲買人を呼んで、県内の産地(市来、江口、志布志等)で県漁連主催のちりめん入札を実施しており、それに出品している。また、豊洲市場への出荷、名古屋魚市場、大阪魚市場への出荷を行っている。

(地域農林水産業との連携、地域活動等

〇地域農業、地域関連業界等、地域社会との連携状況

・生産者とのふれあいや製作体験を通じて地域の食や生活文化に触れることで、地域の特産品への理解と愛着を深めてもらうことを目的に、広く工場見学を受け入れている。

・遠洋一本釣り漁船が釣り上げるかつおが有名な鹿児島県枕崎市にある水産高校生が、課題研究事業の一環として新商品開発を行うにあたり、枕崎市漁業協同組合と協力しながら商品化のアドバイスを行った。完成した「かつおボニートチップス」は2021年度全国農林水産祭で天皇杯を受賞した。

〇地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況

・地域農協の加工グループに「黒酢山椒ちりめん」等の加工を一部委託している。

・市来町漁業協同組合直営の地場産品直売所「いちきえびす市場」へ自社商品を出荷しており、市全体で取り組む「食のまちいちき串木野」の確立に、特産品の一つとして協力している。

・令和4年から鹿児島県水産加工品販路開拓・ものづくり推進協議会の会長を務め、各種事業企画の中心的役割を担っており、鹿児島県水産業界の振興発展に貢献している。また、当協議会で県内水産加工品のブランド力向上検討会・会員商品の情報交換会、「こだわり食品フェア」への共同出展等を行っている。

〇地域の雇用先としての貢献

 当社には、正社員9名、パート・アルバイト9名の計18名(男性12名、女性6名)が従事している。全従業員が県内出身者であり、うち半分の9名がいちき串木野市出身者の雇用であり、地域の雇用創出に寄与している。