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受賞者一覧

令和4年度/第44回受賞者

食品産業部門<農商工連携タイプ>[個人](2022)
農林水産大臣賞

福島 保訓

所属:株式会社桑原ハム(代表取締役社長)
所在地:東京都墨田区
業種:食肉製品製造業(ハム・ベーコン・ソーセージ等製造・販売)
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【功績申請の概要】

  • 氏は、新鮮な豊浦産SPF豚にこだわり、北海道虻田郡豊浦町の「道の駅とようら」内に加工施設を開設し、北海道工場を稼働させ、丹精込めて製品を作り上げている。国産豚肉の利用促進に貢献している。
  • 氏は、ドイツの国際食肉加工コンテストでの多くのメダル獲得が評価され、「北海道洞爺湖サミット」では当社の新商品が食材に採用された。また、「平成21年度すみだモダンブランド認証事業」に参画し、「すみだ山椒ヤークトブルスト」が「すみだモダンブランド」認証を受けている。
  • 氏は、地元小中学校の生徒に食べ物の大切さ、安全性を啓発し、都立高校・中学校からはインターンシップを受け入れ、地元の安田学園で特別授業を受け持つなど、地域社会との連携強化と人材育成に貢献してきた。
  • 工場併設の直営販売店に作業風景が見えるクリーンルームを設置し、自ら店頭に立つなど、お客様との信頼関係構築に努めている。地元スカイツリー内での販売など、新たな販売ルートの開拓に取り組んでいる。
  • 平成30年の改正食品衛生法の施行により、小規模事業者は各業界団体作成の手引書を参考に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うこととなった。氏は、一般的衛生管理や中小企業が抱える問題点を熟知していることが高く評価され、業界団体の作業部会委員として「HACCP手引書」作成の指導的役割を果たした。

(連携の推進)

○国産農林水産物の利用や契約栽培の推進

 氏は、北海道から本場ドイツの味を届けたいとの思いから、平成16年に北海道虻田郡豊浦町の「道の駅とようら」内に加工施設を開設し、平成18年4月から北海道工場「豊浦S.W.FABRIK(シュタット・ヴァイデ・ファブリーク)」を本格稼働させた。豊浦産SPF 豚の肉質にこだわり、前日処理の半丸セットを毎月5~6頭仕入れ、ドイツ産アルペンザルツ塩、ドイツ製香辛料などの原材料を厳選し、ドイツマイスター伝承の製造技術で仕込みから調合・熟成に至るまで手間と時間を惜しまず丹精込めて製品を作り上げている。

○生産者ヘの技術指導等、農林水産業への支援

 豊浦町の特産品のSPF豚は徹底された衛生管理の下で生産され、北海道の生産量の1/4を占めている。氏は、同SPF豚を使ったハム・ソーセージを広くPRし、生産者の経営基盤強化に貢献。また、加工適性に優れたSPF 豚の肉質等の特長をマスコミや消費者等へ積極的にPRするなど、地域生産者支援に取り組んできた。

○国産農林水産物を利用した新商品開発

・氏は、北海道工場開設を機にIFFA(ドイツ国際食肉産業見本市)、SUFFA(ドイツ食肉加工国際コンテスト)、DLG(ドイツ国際品質競技会)等に国産豚肉のハム・ソーセージを積極的に出品し、50個以上のメダルを獲得している。平成20年の「北海道洞爺湖サミット」では、豊浦産SPF豚を利用した新製品「ビアーウインナー」と「パプリカリオナ」が食材に採用された。

・氏は、地元墨田区の「平成21年度すみだモダンブランド認証事業」に参画し、国産豚肉と山椒を利用した新商品「すみだ山椒ヤークトブルスト」を開発した。

○販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進

・氏は、お客様との会話を通じて商品に安心感を持ってもらうとの信念のもと、平成11年に工場併設の直営販売店「Stadt Weide(シュタット・ヴァイデ)」を開設。作業風景が見えるようクリーンルームを設置し、自ら店頭に立ってお客様の声を受け止めるなど、お客様との信頼関係の構築に努めている。

・また、地元のお客様のため、豊浦産SPF 豚を使用した高品質商品をスカイツリー内の墨田区アンテナショップやソラマチの雑貨店「すみだまち処」で販売するなど、新たな販売ルート開拓に取り組んでいる。

(農林水産業との連携、地域活動)

○地域農業、地域関連業界等、地域社会との連携状況

 「すみだ食品工場探検隊」(夏休みに小学5・6年生が墨田区内の食品工場を見学する勉強会)に協賛し、地元小中学校の生徒を招き、食べ物の大切さ、食品の安全性を啓発するとともに、区内の都立高校・中学校からインターンシップを積極的に受け入れている。平成23年から、安田学園の「安田学園・墨田協働地域・国際理解・交流プロジェクト」で特別授業を受け持つなど、地域社会との連携強化と人材育成に貢献してきた。

○地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況

 氏は、すみだ地域ブランド推進協議会の「平成21年度ものづくりコラボレーション事業」にエントリーし、開発した国産豚肉の新商品「すみだ山椒ヤークトブルスト」は「すみだモダンブランド」認証を受けている。

○地域の雇用先としての貢献

 氏は、北海道工場開設当初から雇用してきた豊浦町出身の弟子に同加工施設を事業承継し、地元人材の育成に取り組んでいる。また氏は、廃業した同業他社の人材も積極的に雇用するとともに、本社工場や北海道工場の繁忙期には地元からパートを積極的に募集するなど、地域雇用の推進に貢献してきている。

(業界(団体)や社会への貢献)

○業界及び業界団体の経営安定化への貢献

 氏は日本ハム・ソーセージ工業協同組合の関東支部監事として、組合本部実施のリース事業の貸付先多様化のため、IT関連機器や直営店舗の設備等にも対象を広げるべきと提案するなど、同組合の独自リース事業「恵比寿リース」の立上げに尽力した。また、関東支部の中小組合員にリース利用を積極的に働きかけ、中小組合員の経営安定化と組合本部の収益基盤の強化に大きく貢献してきている。

○食品の安全・衛生管理の向上への貢献

 平成30年の改正食品衛生法の施行により「HACCPに沿った衛生管理」が制度化され、小規模な事業者は各業界団体作成の手引書を参考に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うこととなった。氏は、一般的衛生管理に広く精通するとともに、中小企業が抱える問題点等を熟知していることが評価され、「HACCP手引書」作成に係る業界団体作業部会の委員に推挙され、小規模事業者が取り組みやすい「HACCP手引書」作成に指導的役割を果たした。

○検査・認証業務の信頼性確保への貢献

氏は、農林水産省のJAS登録認証機関と厚生労働省の登録検査機関である(一社)食肉科学技術研究所の理事就任(令和3年5月)と同時に、JAS認証業務評価委員、登録検査機関検査業務評価委員及びISO/IEC17025認定試験所検査業務評価委員に就任し、同研究所の業務実績の点検や適切な業務管理の確認・評価を行うなど、検査・認証業務の公平性と信頼性の確保に貢献している。

○食品表示の適正化及び啓蒙活動への貢献

氏は、令和4年5月からハム・ソーセージ類公正取引協議会の理事として、「ハム・ソーセージ類公正競争規約」の遵守を関東支部組合員に積極的に働きかけるなど、適正表示の推進に取り組んでいる。原料原産地表示でも、同組合員への周知徹底、消費者への啓蒙活動に取り組んでいる。