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受賞者一覧

令和3年度/第43回受賞者

マイスター部門(2021)
農林水産大臣賞

高丸喜文

所属:有限会社高丸食品(代表取締役)
所在地:愛知県大府市
業種:納豆製造事業
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【功績申請の概要】

  • 製造する納豆は厳選した国産大豆のみを原料としている。そして、大豆生産者とは、訪問による意見交換や、共同で収穫を体験することで、相互の信頼関係を築きあげた。愛知県西尾市をはじめ原材料である大豆の産地には毎年訪れ、収穫予定の大豆の品質について生産者と積極的に意見交換を行っている。その貴重な情報を基に今期の大豆に適した最善の納豆製造を方向付けている。納豆製造の重要な工程である蒸煮圧力や浸漬時間などを原料大豆との対話で見極め、納豆に最適な煮豆に仕上げている。
  • 納豆製造に係るもう一つの重要な工程である発酵工程においては、納豆菌に適した繁殖や活動を促す温度や湿度管理を徹底し、時には夜中に目視により確認しながら調整を行っている。長期間に渡って大豆の発酵過程を室(ムロ)内で体感してきたことにより、最適な発酵条件を習得した。

(業界における指導力、人望)

〇1963年創業の家業を引き継ぎ、納豆業界が成熟期を迎える中、昔ながらの発酵技法による製造技術と近代的な技法とをバランス良く調整しながら、納豆製造業を独自に発展させた。量産化ではなく、時代に左右されない味わいを追求するモノづくりへと舵を切り、納豆の原料となる原料大豆の最適な選別や蒸煮、発酵工程にこだわり続けている。その製品づくりにおける技術を知りたいとする若手経営者や製造責任者らに講演を依頼されるほど、指導力、人望が高く評価されている。

 

(専門性)

〇我が国における納豆製造事業社数は減少傾向にある。1980年に1,012件あった納豆製造営業施設数も、2019年には430件とおよそ6割減。現在も担い手不足による廃業などでその現象に歯止めがかからない。その逆境下で、昔ながらの納豆づくりにおける主要な技術を習得し、社業を発展させた。とりわけ、発酵管理は大豆から納豆になる重要な工程であり、その技術習得には長期間の研鑽が必要であった。現在でも蒸煮の豆の出来具合により、発酵室では適宜その進行具合を24時間体制で管理し、時には目視による確認を行っている。

 

(技術・技能の評価)

〇全国納豆協同組合連合会主催の全国納豆鑑評会において、最優秀賞を3年連続で受賞した。以来、そのこだわりの製法や、厳選した原料大豆への想い、真摯に製造に取り組む姿などが報道されたこともあり、売上高はおよそ2倍に増加した。

〇納豆の味の決め手の1つである「発酵」の工程は気を緩められず、醗酵室では目視で納豆菌の繁殖状況(納豆として完成に向かっているか)を確認している。室(ムロ)内の湿度や温度を感じながら調整する。季節の気温変化にも注意を払い、完成まで緊張が途切れることは無い。これらは長年商品を目視し、良品ができた時に体感してきたその温度や湿度の感覚が携わってきたことに他ならない。

(公開・普及状況)

〇納豆を通じて「微生物による発酵」という工程に興味をもってもらいたい、納豆を含む味噌や漬物などの日本古来の発酵食品を新たな視点で触れてもらいたいという想いから、近隣の小学生には教室で自家製納豆の作り方を指導している。また、中学生には深堀りした納豆の製造方法や納豆菌の働きについて講演活動を行い、生化学分野への興味喚起を行っている。

(し界の発展への寄与)

〇全国納豆鑑評会において空前絶後の3連覇を成し遂げたという話題性から、多くのメディアの取材を受けた。納豆鑑評会の開催意義や、納豆製造技術に焦点が当たった報道が多くなされたことにより、日常食である納豆への注目が高まったこと、また、その奥深さへの理解促進が叶った。このことにより、業界発展の根幹をなす納豆への話題喚起がなされ、市場拡大に貢献した。

〇全国納豆協同組合内の研究・PR部会に所属し、納豆市場全体に資する施策に対して積極的に意見交換を行っている。また、上述のように納豆を通じた地域の食育活動として小中学校で講演を行っている。

(技術・技能の社会への寄与)

〇厳選した国産大豆による「おいしい納豆」を供給し続けることで、日本の農業従事者がより良い作物を育成したいとする意欲を高めることに寄与。また、伝統食・日常食としての「納豆」の多様性や地域性を際立たせることに貢献している。