ページTop

受賞者一覧

令和3年度/第43回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ③>(2021)
農林水産大臣賞

吉原食糧株式会社

代表取締役:吉原良一
所在地:香川県坂出市
業種:製粉業、倉庫業
> 公式ホームページ

イメージ

イメージ

【功績申請の概要】

  • 香川県の製粉会社として、「美味しさ」と「健康機能性」を融合させ新しい価値を社会に提供することをミッションに掲げ、成長する「ヘルスケア食品市場」への参入を目指して、機能性を持つ麦の粉体、食品の開発・販売を進めている。
  • 専門機関との外部連携・共同開発を通じて、機能性表示食品における根拠の確立や先端技術による成分分析、新たな機能性の探索など、高付加価値製品の開発における取り組みをスピーディーに進めている。
  • 食品の品質や安全性確保のための製造及び品質管理体制の確立や社員教育を通じた意識向上を図っており、現在、国際規格であるISO 22000の取得に向けて取り組みを進めている。
  • 県産の食材を用いた高付加価値製品を積極的に開発し、地域経済の活性化と食文化の振興に貢献している。官民一体の地域農業推進協議会に参画し、地産地消や地域農産物の付加価値化を図り、強い農業の実現や地方創生の推進に寄与している。

(栄養・健康に配慮した食品の開発・普及)

〇開発・製造状況

・明治35年創業(会社設立は昭和25年)の坂出市の製粉会社で、「麦」から「食」を創造する企業として、さぬきうどんを「原料小麦粉の開発・供給」と「食文化」の両面から支え、「新規性のある美味しさ(風味と食感等)」と「健康機能性」を引き出し、新しい“食の世界”を創ることをミッションとしている。

・ヘルスケア食分野に向けて「小麦の未知の機能性の探索」、「大麦の機能性に着目した大麦粉製品の開発」、「小麦と大麦の機能を融合した粉体と食品の開発」、「アスリート/フィットネスの食市場向け(サルコペニア/フレイル分野を含む)の体質改善・強化を目的とする粉体及び食品の開発」を基本テーマとして業務を推進している。

・機能性表示食品としては以下の製品開発を行った。

 ①「大麦パンケーキミックス」:水溶性食物繊維の『大麦β-グルカン』に着目し、地域資源の香川県産の大麦「イチバンボシ」と小麦「さぬきの夢2009」を使用し、微粉砕技術と材料配合

 のノウハウ等で開発。         

 ②「和菓子のようなもち麦パンケーキミックス」:大麦β-グルカンをより多く含む香川県善通寺市産「讃岐もち麦ダイシモチ麦」を100%使用した全国初の製品

 ③「讃岐・大麦うどん~食後の血糖値上昇を抑える麺~」:切れやすい大麦麺の課題を少量配合の小麦粉グルテンに最適なプレス(加圧)をする新規製麺方法で解決した全国初の製品

・また、アスリート食品市場向けの「マッスルパスタ」(高プロテイン麺)を開発し、そのコンセプトや機能の新規性が注目を集め、有名TV番組で2度取り上げられた。

・従来食用利用が少なかった小麦胚芽を加熱処理・微粉砕加工する技術開発によって開発した「スウィートポリフェⓇ」は、砂糖の一部代替として使用することで糖類の摂取量が低減できるほか、ポリフェノール含有量は小麦粉の約9倍、抗酸化能は約10倍の機能性を持つ。

 

〇製造方法の改良・高度化

・大麦粉体の専用生産ラインでは、硬度が高く粗い粒子が一定量発生する大麦粉体の粒子径分布の範囲を一定にすることで、二次加工食品において滑らかで口当たりの良い食感を実現した。

・小麦焙煎胚芽粉の専用生産ラインでは、気流式粉砕機の導入を行うとともに、その生産条件を粉体粒度の粒度分布をシャープにすることでより甘い小麦胚芽粉体を実現した。

 

〇研究・開発体制

・組織の内部と外部の境界線を連結する活動を通じて、その人材育成をしつつ、社内でのスキルアップを図ることで、技能の維持・発展に取り組んでいる。

 

〇販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進

・事業の商品群は、機能や特性を持つ個性的で専門性をもつ商品であることから、対象メディア(TV、ネット、雑誌、展示会)を多層化し、リアルとネット双方から商品の認知度を高め、販売拡大につなげている。

・大麦、もち麦の微粉砕を特徴とする粉体(健康機能、食感の良さ(なめらか、もちもち性等))を麺・惣菜・菓子等の家庭用食材として、当社ホームページのネットストアで販売している。

 

〇市場開発・普及度

・「和菓子のようなもち麦パンケーキミックス」は、香川県内の量販店や健康商品・サプリメントの大手通販会社で販売、「大麦パンケーキミックス」は香川県内の販売店で販売、「スウィートポリフェⓇ」は大手菓子メーカー製品に採用され、香川県・愛媛県内の菓子店、関東の有名ラーメン店(製麺用)に販売し、「マッスルパスタ」は当社オンライストアで販売している。

・表彰履歴としては、平成20年、23年、30年に食品産業技術功労賞(食品産業新聞社)、24年及び30年に四国産業技術大賞革新技術賞等(国立研究開発法人 産業技術総合研究所四国センター)、令和2年に「かがわ発!先進的ビジネスモデル2019」大賞(かがわ産業支援財団)及び地域未来牽引企業選定(経済産業省)、令和3年に香川県知事表彰(中小企業振興功労、食品産業功労)を受賞している。

 

(外部との連携、社会への貢献)

〇栄養・健康関連の諸機関との連携・協力

・協同組合全国製粉協議会副会長、一般財団法人製粉振興会理事、香川県製粉製麺協同組合理事長、かがわ機能性食品等開発研究会副会長を務め、研究・連携では、産業技術総合研究所及び香川県産業技術センターとの共同研究、香川県栄養士会と連携・交流(令和3年10月総会で講演「小麦製粉から見たさぬきうどん~健康機能面から香川県の食文化を考える~」等)、善通寺市強い農業推進協議会への参画(もち麦部会:機能性食品の開発)を行っている。

 

〇社会(地域)への貢献

・坂出商工会議所副会頭として、坂出市の経済発展に尽力。現在、脱炭素・新エネルギーに関する取組みを提案し、坂出市長、坂出市議会、工業地帯のエネルギー関連企業によるコンソーシアムを企画している。

・令和元年9月に設置された「坂出市中小企業・小規模企業振興会議」の委員として、地域の持続的発展に向けた産業構造の構築等の検討に貢献している。

・さぬきうどん研究会理事として、さぬきうどんの歴史と文化を残す企画、活動、寄稿等を行っており、さぬきうどん文化に関する本を2冊上梓した。また、香川大学農学部でうどん学「小麦製粉の技術」の講義を担当するとともに、高等学校の生徒及び教諭を対象に講演も実施した。

 

(食品表示法への対応)

〇食品安全におけるISO 22000の取得に向けた活動を通じて、法改正に対応した適切な表示(業務用や一般販売向け)への社内での取組みも含め、食品製造企業としての社会的責任を果たすとともに、組織の活性化を図っている。2021年9月時点で3件の機能性表示食品の届け出が受理されている。