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受賞者一覧

令和元年度/第41回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ〔個人〕>(2019)
農林水産大臣賞

竹内 裕嗣

所属: 大和食品工業株式会社(代表取締役社長)
所在地:東京都品川区
業種:食肉製品製造業
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • M&Aを求める企業に対し、両社が持つ高い技術力を融合させることで需要期の生産力強化と労働者確保の柔軟性、商品見直しの合理化、技術力を武器とした新製品開発、これらのシナジー効果による経営基盤の安定など、大手企業にはない機動力と柔軟性をもった経営ができると、業界内での M&A推進役を果たしてきた。その考え方と取組の実績を認めたメインバンクも積極的に協力し、平成18年のM&Aをはじめとして、次々と寄せられる相手先からの要請に応え着実に取組みを進め、副社長及び社長在任15年間で6社のM&Aを実施している。
  • ハム・ソーセージにとどまらず、経営の堅実性と併せ高い技術力と品質管理が高く認められ大手ファストフードチェーン等の製品製造も委託されている。氏のこのような製販直結とM&Aは、成熟しつつある食品加工分野において中小企業が生き残る新たなモデルとして注目されている。
  • HACCPによる衛生管理である「総合衛生管理製造過程承認制度」が平成8年に始まった際には、いち早く平成10年には厚生労働省の承認を受けた。平成25年厚生労働省が設置した「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」においては、中小企業を代表して参考人として招聘された。その後、食肉加工分野において手引書を作成することとなった際には、作業部会長に就任し、手引書作成後の指導体制等についても指示した。

●功績申請の具体的内容
(業界における指導力、人望)
性格円満にして温厚篤実、責任感強く、20 年以上食肉加工業に携わり、創意工夫と旺盛な研究心から新製品開発に注力するとともに、その先見性と豊富な経験を活かして食肉加工業界の健全な発展に尽力し、業界からの信望は極めて厚い。
(し界の発展への寄与)
○お客様に信頼される「製販直結」への取組み「常にお客様目線で物を考え、素材を重視した高品質で確かな製品を作り、その製品はお客様の反応を直接感じることができる製販直結とする」した経営方針を掲げ、ヨーロッパの伝統的な製法にこだわった「カイゼルハム」や十和田高原豚を使用したハムソーなどを中心に都内主要百貨店内の自社ブースで直接販売している。
○M&A と生産管理による経営革新への取組み
歴史やブランド力があるということは即ち、製品に対するお客様の信頼と確かな技術(人材)があるとの信念のもと、ブランド力や技術力はあるが後継者問題などにより経営が行き詰っている中小企業としてはM&A が生き残りをかけた道だと確信し、副社長及び社長在任15 年間で6 社のM&A を実施している。
○「製販直結」とM&A による事業拡大への取組み
ブランド力と高い技術を持つ企業を買収したことでハムソーにとどまらず食肉加工品や惣菜など、飲食店や弁当販売などの外食・中食分野にも進出することとなった。氏の経営の堅実性と併せ更に高い技術力と品質管理が高く評価され大手ファストフードチェーンや大手ピザチェーンの製品製造も委託されるところとなっている。
○HACCPによる衛生管理への先駆的な取組
中小企業としていち早く制度開始2 年後の平成10 年には厚生労働省の承認を受けた。厚生労働省や東京都から中小企業におけるHACCP導入の代表事例としての視察依頼が相次いでおり、このことが従業員の衛生管理に対する自信と更なる向上に寄与しているところである。
○M&A と生産管理による経営革新の成果
M&A により、これまで各社縦割りであった技術者が並列化され、一商品3 工場制の導入が可能となり、グループ各社のブランド力は維持しつつ商品の需要期(お中元やお歳暮)と通常期との平準化が図られ、グループの経営は堅調に推移している。成熟しつつある食品加工分野で中小企業が生き残る新たなモデルとして注目されている。
(業界の発展への寄与)
○食品の信頼向上に向けたマニュアル作成等への取組
平成24 年4 月「食品事故発生における自主回収参考事例集」を作成し、組合員に配布した。また、食品事故発生時の対応マニュアル作成を強く提言し、発生内容に応じたお客様対応マニュアルや自主回収方法などについての情報提供を行うとともに委員会での検討・協議を積極的にリードした。その後、外部有識者(消費者団体)からの意見等も踏まえ、同マニュアルは平成27 年3 月に発刊、組合員、行政機関及び関係団体等に配布された。同委員会における積極的かつ指導的な取組が評価され、平成29 年度から
同委員会の副委員長を務めている。
○食品衛生法改正に伴うHACCPに基づく衛生管理の義務化に向けた取組
手引書の作成にあたって作業部会が設置されることとなり、HACCP導入に関する自社での経験や導入時に中小企業が抱える問題点等を熟知する氏がその作業部会長に就任した。
○TPP11及び日EU経済連携協定への対応への取組
氏は組合理事、更には組合関東支部副支部長として、これら協定の締結が固まった時点で、組合員向けの説明会の開催を提言、平成30 年8 月に農林水産省担当官を招聘し「TPP11及び日・EU経済連携協定に関する説明会」を開催した。
○食品表示関連法律の改正等に伴う公正な食品表示の推進への取組
平成23 年5 月にハム・ソーセージ類公正取引協議会の理事に就任し、平成27 年3 月に公布された食品表示法に基づく「食品表示基準」について、ハム・ソーセージ・ベーコンに係る表示基準を取り纏め、消費者等にも分かりやすく解説できる解説書の必要性を提言し、同協議会は、平成29 年度に「表示ブック作成委員会」を設置し検討を始めた。その後、同協議会は、平成30 年6 月に「食肉製品表示ブック」を作成、会員及び関係官庁等に配布するとともに、会員の公正な食品表示の推進に取り組んでいる。