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受賞者一覧

平成30年度/第40回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2018)
農林水産大臣賞

株式会社 モミの木

代表取締役社長:竹田 篤永
所在地:山形県 山形市
業種:菓子製造販売
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【功績申請の概要】

  • 「原料立地」という経営理念に基づき、主に東北と北海道から原料調達を行っており、平成28年の国産原材料の使用割合は、9割以上に達している。
  • 独自技術である「真空フライ製造法」を用いて、米菓をはじめ野菜・果実等の製品化に取組んでいる特に有名なものが「りんごチップ」であり、規格外で、生鮮青果として市場に供給できない農産物に加工を施すことにより、付加価値を付けて消費者に提供することができている。近年は、農産物以外の海産物等への技術応用も研究されてきている。
  • 「真空フライ製造法」により、地域の特産品開発に貢献している。これまでに12件の商品化に成功し、OEM商品として全国各地に出荷し、東北の農産物消費拡大に貢献している。
  • 食品廃棄物のリサイクルを推進するエコフィード活動に積極的に取り組んでいるほか、米菓製造の過程で発生する「揚げカス」の家畜飼料としての提供や、野菜や果樹のチップを生産する過程で発生する残渣の肥料原料としての供給なども行っている。

(農商工連携の推進)

〇国産農作物の利用状況

平成29年実績で年間加工用米で約800t 、フライ油で400t 、澱粉で約70tの使用量を調達している。加工用米については、近年MA米(輸入品)の比率が増えているが、550~730 t/年の国産米を使用している。主原料米は、県内をはじめ宮城県、秋田県、岩手県のものを使用しており、また、フライ油は、国産原料100%の米油を本県地元企業から調達している。

このほかりんごで250 t以上野菜合計で170 t前後を使用しており、農商工連携の推進および地場産業の発展という点で米菓同様 貢献している。当初はりんごのみにてスタートしたが、定番品となっているかぼちゃ・人参・さつまいも・じゃがいもに加え、山形産の柿・メロン・桃と品種を増やし、現在では20種以上を商品化している。

○生産者ヘの技術指導等、農業への支援

昭和43年当時、地元農家・JAからの要請に応えるために社内にプロジェクトチームを設置し、野菜類の加工技術の蓄積を図って来た結果、昭和46年に国内でもいち早く「ポテトチップス」の製造販売を開始した。昭和60年には真空フライ製法の「りんごチップ」を開発、特許を取得しこの特許製法に基づいた新商品開発により、従来は格安で処分するか、自家用・廃棄していた野菜・果物を出荷できるようになり、農家の所得や生産意欲向上に寄与している。

〇地域農業との共存事業

平成10年から農産物加工技術を活かして、全国各地の農産物を使用した特産品開発を請け負い、商品化が実現したものについては、受託加工生産を通して、原料となる野菜や果物を仕入れ生産している。地元農産品について特色ある食品形態・商品の差別化などを依頼されて商品開発に取り組み、「松島野菜」のかぼちゃ・紫いも・人参など、「信 州りんご」、「青森長いも」、「北海道のりんご」などを原料にしたチップの開発実績がある。これまでに依頼された件数は全国各地に及び開発事例20件、商品化事例12件に達しており、積極的に受託事業に取り組み、地元の6次産業化に貢献している。

○国産農産物を利用した新商品開発

<近年商品開発に活用した主な原料:野菜・果物類>

・オクラ, 三色ピーマン, ズッキーニ, ゴーヤ, 安納いも, ごぼう, 紫いも, 里いも, 赤かぶ, 絹さや, 北海道野菜など

・パイン, ラ・ラフランス, 山形キウイ, 柿(奈良産), 桃など

・開発予定商品-----こんにゃく,きゅうり,あけび,及び牛肉など

  <新しい分野への挑戦>

   海産物、練り物(かまぼこ・さつま揚げ・笹かまなど)や地元の枝豆等の豆類、また、長年研究して取り組んでいるが商品化に至っていない「さくらんぼ」や自社製法の米菓とのコラボによるせんべいの開発に取り組んでいる。

・ポテト,ワンタン,エビなどの真空フライとインスタント食品への適用

・凍結乾燥品以外の素材、及び熱風乾燥が困難な素材についての代替品の開発。

○販売方式や販売ルートの工夫

・平成16年から「新鮮で質の良いものをできるだけ早く届ける」という考えに立ち、ネット販売も行っている。また、展示会における商談など)等に積極的に参加している。平成4年には、アンテナショップも兼ねた直販部門「みちのく芭蕉庵」を設立し、全国のお客様へ出来立ての美味しさをお届けしている。

・平成219年より、(株)良品計画にて「無選別しょうゆ揚げせん」などが、台湾・香港・シンガポール・米国などに輸出され、無印良品店舗にて販売されている。

・学校給食への利用は平成9年に開始し、小学校の学校給食用に「プチ野菜チップ」(かぼちゃ、人参、さつまいも、インゲン、ポテト等)を給食のデザートメニューとして、学校給食食材業者を通じて提供した。学校側からは、野菜嫌いな子供でもお菓子感覚で、抵抗なく食べられるとの好評を得られた。

 

(地域農林水産業との連携、地域活動等)

〇平成26年7月、振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害が急増しているため、山形県警察本部の防犯CSR活動の一環「安全・安心なまちづくりの推進」として「振り込ませんべい」の依頼があり、被害防止を願った米菓製品の「振り込ませんべい」を製造し、山形地区防犯協会連合会(会長:山形市長)に1,000袋を寄贈した。

〇産業廃棄物の低減、食品循環資源(エコフィ-ド)推進に積極的に取組んでいる。
<平成29年度実施率--- 93.9%>

〇エコフィード活動の推進し、米菓製造の過程発生する「揚げカス」、「製品カス」等は家畜などの飼料として、チップ製造過程で発生する「果物・野菜ロス」、「米菓・チップの不良品」などは農家等の堆肥に利用されている。

〇2017年、山形県内の農産物を使用した「山形おみやげ菓子開発事業」に参加して「山形の野菜と果物チップ」を開発した。

○山形県米菓工業協同組合に加入(組合員数 12社)

現在、社長が理事長を務めており、全国米菓工業組合の理事として米菓業界の発展に寄与している。

〇山形市グリーン・ツーリズム振興協議会(山形市役所農政課)賛助会員

山形地区の観光(スポット)への売込み、さまざまな果樹園・農園等の繁盛と地域の活性化に協力している。

〇山形県食品産業協議会(やまがた食産業クラスター協議会)会員

協議会の設立に貢献し、長年にわたり社長が副会長職を務めており、6次産業化等の取組みに尽力している。

〇地域の雇用先としての貢献

本社工場の従業員は全て地元採用(山形市内及び、近隣の市町村より)とし、地元に密着した人材による技能力の向上に力を入れており、新製品開発等の拡充を目的に、研究(開発)職を増員する方針としている。