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受賞者一覧

平成28年度/第38回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ②>(2016)
農林水産省食料産業局長賞

株式会社 アキモ

代表取締役:秋本 薫
所在地:栃木県 宇都宮市
業種:漬物製造及び販売
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【功績申請の概要】

  • 旬の国産野菜を使ったバランスのとれた具材と味付けの研究、単身及び2人世帯の食事を想定した浅漬けの喫食糧調査を行い80gを基準とするとともに、専用ラインを設置し、生産進捗カウンターの設置によるタクト管理等の改善を進め、生産性の向上を図り、販売価格を低廉化した。また、数度の容器改良にも取り組み、キューブ型のリブ入りで調味液が切り易く、液の飛び跳ね軽減の新技術を開発し、「浅漬け小分けプチカップシリーズ」7商品を製造販売したところ、販売額が飛躍的に伸びた。
  • 「個食漬物(小分けパック漬物)」は、2009年度以降現在に至るまで、毎年110%以上の販売金額を伸ばし、2015年度の販売金額は2010年度対比で8倍に拡大。年間販売額約4.1億円の基幹商品に成長した。
  • 当社のプチカップのシリーズ展開により、減少傾向の漬物業界に「個食」という新しい市場の存在を示し、近年では浅漬メーカーだけに留まらず、古漬メーカーにおいても小容量のカップ商品が増えつつある。

 

(研究開発体制の強化について)

○研究開発体制の整備状況

・研究設備等研究環境について試作用冷蔵庫2台、保存試験用冷蔵庫1台、冷凍庫1台、秤4台、カップシーラー1台、

ハンドシーラー1台、ミキサー1台、クリーンベンチ1台、オートクレーブ1台、

乾熱滅菌器1台、恒温器2台、ストマッカー1台

・研究員数(専任)について:5人

○売上高に占める研究開発費の割合について

・1%未満

 

(開発された技術・新製品について)

○開発した技術の高度性について

<容器の設計・改良>

・食べきりサイズの内容量に合わせて、ドイツ製深絞り包装機でかまぼこ型の独自の容器を開発。斬新な容器によるシリーズ展開で漬物売り場に活気を与えた。

・2007年に、よりコンパクトに冷蔵庫に収納できる容器形状にリニューアル、2012年には調味液を捨てやすいように液切り口を付けた独自容器を開発。2015年にはさらに液切り口を改良し、液切り時間を約40%短縮化した。

<生産性の向上>

・2003年当初生産性は130パック/h・人であったが、容器形態のリニューアルに伴い、現在は専用3ラインを設置し、生産

進捗カウンターの設置によるタクト管理等の改善を進め、生産性360パック/h・人まで向上させ、月産50万パック・年間600万パック体制まで向上させた。

<コスト改善>

・生産性の向上と共に、オリジナル容器開発によるコストダウンを実施し、価格競争力をつけ、発売当初150円程度であった販売価格を128円にすることを可能にし、消費者が求めやすい価格設定を実現した。

 

○開発した製品の独創性について

<内容量の設定>

・開発当初の浅漬は、巾着型の袋の形状で内容量200~300gのものが主流であったが、単身及び2人世帯の食事を想定し、浅漬の喫食量を独自に調査。食べきれる量と商品の見栄えとのバランスを加味し、内容量80gを基準に設定。さらに原料野菜の種類や味付けにより、商品ごとに適正な内容量を設定している。

<容器・デザイン>

・2003年に深絞り包装機を用い、内容量80gに適し、かつ手に取りやすい「かまぼこ型」の独自容器を成型し、見た目にも革新的な「浅漬小分けパックシリーズ」9商品を開発。2007年に安定性を向上させたキューブ型の容器にリニューアルし「浅漬けプチカップシリーズ」として展開。この形状が個食浅漬のスタンダードとなり、他社類似商品も発売されるようになった。

・弊社では2012年に液切口の付いたオリジナル容器を開発し、他社にはない独自性を有した商品開発を行っている。パッケージは、当時の漬物業界では用いられることがなかった淡い色調と白とのグラデーションを特徴とした統一感のあるデザインでシリーズ展開を行い、業界でも注目されるデザイン展開を行っている。

 

○開発した技術・新製品の普及度につい(例:販売実績、業界への寄与等)

・「個食漬物(小分けパック漬物)」は、2009年度以降現在に至るまで、毎年110%以上の販売金額を伸ばし、2015年度の販売金額は2010年度対比で809%に拡大。年間販売金額全体の約15%(約4.1億円)を占める基幹商品に成長した。

・弊社のプチカップのシリーズ展開により、漬物業界に「個食」という新しい市場の存在を示し、近年では浅漬メーカーだけに留まらず、古漬メーカーにおいても小容量のカップ商品が増えつつある。

・弊社では2015年より最大手コンビニエンスストアに販売することに成功し、より身近で手軽に美味しい浅漬を提供し、日本人の野菜摂取の機会を増やすとともに、関係会社の秋本食品㈱にも技術供与を行い他コンビニエンスストア・スーパー業界に販売を広げ消費者や業界発展に貢献している。

 

○開発した技術・新製品の社会(地域)への貢献

<野菜摂取の向上>

・日本人の野菜摂取量は年々減少しており、1日の野菜摂取目標350gに対して全ての世代で不足している。1980年頃の日本人の食事が理想とされており、その食事には必ず漬物があった。食べきりサイズで手軽に食卓に出せる漬物を開発することで野菜摂取の機会を増やし、人々の健康に貢献することを目標に商品展開をしている。

<環境負荷の軽減>

・日本国内の「食品ロス」は年間約500~800tと試算されており、その半分の約200~400tが家庭から出ると言われている。賞味期限内に食べきれずに残ってしまい廃棄される食品は、処理段階においてCO2を発生させるなど環境への負荷となります。食品の小食化はこれらの食品ロスを減少し、環境負荷の軽減につながる。また容器の簡素化・軽量化により環境負荷の軽減も実施している。

 

(原料原産地表示の取組)

・漬物は義務表示となっているため、全ての製品に対して原料原産地表示を行っている。